ダメだ…!! ページ34
「……分からない…」
「……何が」
「なんでもないです」
…しまった。ついつい思っていたことを口に出してしまっていた。そう言って交わそうとするも、沖田隊長は私へ向けてくる怪訝な視線をやめてくれない。じーーっと数歩後ろからの視線が私の後頭部あたりに刺さってくる。まぁいい。答えなければいいだけの話だ。構うことなく私は歩を進めていく。不服そうにしながらも、幸い沖田隊長は詮索するつもりはないのか、はたまたあまり興味がなかったのか、何も追求してはこなかった。
…陽太が真選組に来たり、入院することになったりとここ最近は色々なことが重なっていた。だから、あんまり考える時間がなかったのだ。沖田隊長が私に告げた気持ちについて。彼が私に抱いている、感情について。
『日下部A、テメーに惚れてる』
…そう、沖田隊長は言った。それはまだ、夏の暑さが多少残った秋の始めくらいの、曖昧な季節だっただろうか。なんだか随分昔なような気がするけれど、思い返してみれば案外最近の出来事であった。伝えられてすぐは、混乱して戸惑って、考えるだけで気絶しそうになって、それこそ考えないようにしていたけれど。
(……流石に、ずっとこのままって訳にはいかないですよね…)
…答えというものを、私は見つけなければならなかった。沖田隊長の言葉のお返事を返すには、それを見つけなければ話が進まない。何も見えていないのに返事を返すだなんて失礼なことは出来ないのだし。けれど。実際のところ、疑問なのだ。
……私は、沖田隊長のことをどう思っているのか。
「……、」
「……どうした、俺に見惚れてんのかィ」
「ごめんなさい違いますね」
私へ向けた真顔をその適当な一言で不満げな色を浮かべる沖田隊長。口をへの字に曲げて、ふてくされたような顔をしている。そんな顔をされても困るのだけれど。見惚れてなんていないし。そんな彼の顔を一瞥しつつ、ちょっと考えてみることにした。
…沖田隊長について私が思うこと。
・面倒臭い。
・仕事してほしい。
・サボらないでほしい。
・副長の逆鱗に触れないでほしい。
・サボらないでほしい。
・仕事してほしい。
「ダメだ…!!」
「お前今日どうした」
頭を抱えて無意識のうちにそう口走ってしまう。沖田隊長はそう言いながら別にそんなに心配していなさそうな表情をしている。そんな彼にもう一度「なんでもないです」と返しながらに思う。
……ダメだ。と。
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雨散 - 惚れ薬いいいいいいい!!!! (2019年8月5日 15時) (レス) id: c6b3012422 (このIDを非表示/違反報告)
乙愛 - うおおおで爆笑しちゃったじゃないですかァ!!息が苦しかったですわぁー。 (2019年2月25日 21時) (レス) id: 6dafc5383a (このIDを非表示/違反報告)
月猫(プロフ) - 番外編、最高です!にやけが全く止まりませんww (2017年12月26日 14時) (レス) id: 84e6bcc189 (このIDを非表示/違反報告)
りん - 番外編だーヾ(´∀`*)ノ゚やったー+.ヽ(≧▽≦)ノ.+ 凄い嬉しいです!(心の中で飛び跳ねています笑)まさか番外編が出るなんて…もうドキドキでした!本編も更新頑張って下さい。 (2017年12月11日 23時) (レス) id: 01d5cac8e5 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ゆっくりノワールさん» 何より仕事です(笑)。兎に角彼女は仕事してほしいんです(笑)。多分明日続編出すので、またよろしくお願いします^^ 更新頑張ります! (2017年12月11日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年11月18日 19時