小さな約束 ページ23
「お父さんとお母さんをよろしくね、陽太」
「うん!任せてよ!」
お姉ちゃんが居ない間、僕がお父さんとお母さんを護るから、と。陽太は胸を張ってそう言ってくれた。小さな勇者様は、やっぱりとても頼もしい。思わず笑みが溢れてきてしまう。また暫く会えないのかと思うと寂しくて仕方ないけれど、この子が居るのなら大丈夫だと思える。護りたいもののために、私は江戸に居るんだ。
「でも、本当に大丈夫?やっぱりお母さん、近くのホテルにでも泊まろうか?」
「いいって、陽太が寂しがるでしょ?」
心配性なお母さんは、江戸に残って私の怪我が治るまで居ようかと提案してくれる。けれど、折角陽太が帰って来たんだから、三人仲良く家に帰った方がいいだろう。それに、陽太だって屯所に居る間、寂しそうにしていたのだから。今は心なしか安心しきった顔をしている。
「本当に?」
「本当だってば……それに」
…沖田隊長や、局長や副長を一瞥して、続ける。
「一人で居る訳じゃないんだから」
…私は、一人じゃない。私には、真選組があるから。もう一つの家族と呼べる、彼等が要るから、大丈夫なのだ。
「……それもそうね」
お母さんは目を細めて、少し嬉しそうに微笑んでそう言った。「それじゃ、」と。お父さんとお母さんは椅子から立ち上がる。荷物を詰め込んだキャリーバックを手に掴んで。
「あんまり長居してもアレだし、そろそろ行きましょうか」
「そうだね」
どうやら、もう家に帰るらしい。名残惜しさを感じつつ、私は「気を付けてね」と三人に伝えた。陽太は最後に、こちらに歩み寄ると、小指を私に差し出した。
「お姉ちゃん、僕、お父さんとお母さんちゃんと護って、トマトにもピーマンにも負けないから」
「うん、頑張って」
そう言って、その小さな小指と私の小指を絡めた。その小さな指は、確かな意思を示すようにキュッ、と力が込められていた。それに頬を緩めていれば。
「大丈夫!僕にはマヨネーズがあるから!」
「…そ、そうかぁ…」
…なんともコメントしづらい言葉をぶっこまれた。
「それじゃあ、A、ちゃんとご飯食べるのよ」
「風邪引かないようにな」
「お手紙書くね!」
「うん!」
…そう言いながら、私の家族は最後まで笑顔で、病室から出ていった。
「……私も、頑張らないとな」
…小さな約束を胸に、私はそう呟いた。
1426人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雨散 - 惚れ薬いいいいいいい!!!! (2019年8月5日 15時) (レス) id: c6b3012422 (このIDを非表示/違反報告)
乙愛 - うおおおで爆笑しちゃったじゃないですかァ!!息が苦しかったですわぁー。 (2019年2月25日 21時) (レス) id: 6dafc5383a (このIDを非表示/違反報告)
月猫(プロフ) - 番外編、最高です!にやけが全く止まりませんww (2017年12月26日 14時) (レス) id: 84e6bcc189 (このIDを非表示/違反報告)
りん - 番外編だーヾ(´∀`*)ノ゚やったー+.ヽ(≧▽≦)ノ.+ 凄い嬉しいです!(心の中で飛び跳ねています笑)まさか番外編が出るなんて…もうドキドキでした!本編も更新頑張って下さい。 (2017年12月11日 23時) (レス) id: 01d5cac8e5 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ゆっくりノワールさん» 何より仕事です(笑)。兎に角彼女は仕事してほしいんです(笑)。多分明日続編出すので、またよろしくお願いします^^ 更新頑張ります! (2017年12月11日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年11月18日 19時