ダメ 沖田side ページ20
…どんだけ熱くなってんだってくらいに、コイツちょっと大丈夫かと思ってしまうくらいに、Aの顔は熱くて、真っ赤になっていた。触れた手のひらから伝わる熱に、どうしようもなく愛しさが込み上げてくるようで。紅潮した頬の色に、ゆらゆらと揺れる潤んだ丸い目。そんな目で見つめられたら、このまま何もしないまま離すことなんざ出来やしない。その目に今は、俺だけが映っているのだと思うと、口元が緩みそうになる。
そんな口元をどうにかして通常のままに保ち、両手でソイツの頬を包み続ける。その温度は少しずつ上がっているような気がする。あわあわと慌てているAは、俺の目の前で小さく縮こまっており、まるで借りてきた猫のようだ。
「ちょ、ちょっと沖田隊長…!…ひ、人、来たらどうするつもりですか…!!」
場所をわきまえてって言いましたよね以前…!と、必死に抗議してくるAは、俺から距離を取ろうとしているのか、俺の腕を掴み遠ざけようとする。が、そう簡単に動かせるはずもなく。
「わきまえてるだろィ、人居ねぇし」
「だから来たら…!!」
「今は居ねぇだろ」
そんな…!とかなんとか、まだしつこく抗議を繰り返そうとするAに痺れを切らし、俺は有無を言わせないままソイツの額に口付けを落とした。瞬間、ソイツはその箇所を手で押さえ、「ひぇっ」なんて声を漏らした。
「も、やめてくださいこんなとこで……!」
「だーからこっち向いてろっつの」
顔を無理矢理逸らそうとしているAを再びこちらに向け、額と額をコツン、と合わせた。そうすれば、Aは肩をピクンとビクつかせ、抵抗をやめる。
「…なァ、キス、していい?」
「……ッ、…ダメです」
「何だよ今の間。何、いいの」
「ダメですから!!!」
なんて、Aは全力で訴えてくるも、そんな真っ赤な面して言われても説得力など皆無であった。少なくとも、「ダメ」という顔ではない。
つまり。
「そんなにダメじゃねェんだろィ?」
「なっ…!そんな訳ッ…!!」
「ほら、いいから」
大人しくしてな、と。そう言いながら、ゆっくりと距離を縮めていけば、Aは「ぅ、あ……」という謎の声を漏らしながら、ギュッと固く目を瞑った。俺の隊服のジャケットの袖を微かに震える手で握り締めて。
漸く悪足掻きをやめたか、と。そう思いながら、俺はAとの距離を0にしていく、
……はずだった。
ガララッ
「お姉ちゃん!!」
病室の扉が開く音と共に部屋に響いたのは、子供らしい甲高い声で。
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雨散 - 惚れ薬いいいいいいい!!!! (2019年8月5日 15時) (レス) id: c6b3012422 (このIDを非表示/違反報告)
乙愛 - うおおおで爆笑しちゃったじゃないですかァ!!息が苦しかったですわぁー。 (2019年2月25日 21時) (レス) id: 6dafc5383a (このIDを非表示/違反報告)
月猫(プロフ) - 番外編、最高です!にやけが全く止まりませんww (2017年12月26日 14時) (レス) id: 84e6bcc189 (このIDを非表示/違反報告)
りん - 番外編だーヾ(´∀`*)ノ゚やったー+.ヽ(≧▽≦)ノ.+ 凄い嬉しいです!(心の中で飛び跳ねています笑)まさか番外編が出るなんて…もうドキドキでした!本編も更新頑張って下さい。 (2017年12月11日 23時) (レス) id: 01d5cac8e5 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ゆっくりノワールさん» 何より仕事です(笑)。兎に角彼女は仕事してほしいんです(笑)。多分明日続編出すので、またよろしくお願いします^^ 更新頑張ります! (2017年12月11日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年11月18日 19時