普通に ページ14
…私を、護り抜けるのか。
沖田隊長から告げられたその言葉を、何度も何度も頭の中で繰り返していた。何度繰り返しても、その驚きのようなものを飲み込めそうもないまま、私は呆然と丸くさせた目で彼を見据えていた。絡まる視線に、今は気まずさを感じられる程の余裕もなくて。その赤い目に映る私は、戸惑いを隠せていない表情を浮かべていた。なんとも、間抜けた顔だ。
けれど、そんな間抜け面をからかうことも、沖田隊長はしなかった。その代わり、また言葉を紡ごうと口を開く。
「…だから俺は、お前をあそこ(真選組)に居させたくなかった」
「…ぇ…」
「お前は、こんな場所に居ちゃいけねェんだって思ってた」
…まるで、突き離すかのような言い方に、一瞬胸がズキリと痛みを帯びた。けれど、そんな言葉とは反対に、私の手を握る隊長のその手は、私の手を繋ぎ止めるように握り締められていた。離したくない、離れないでと言っているかのように。伝わる手の温度は、優しく、冷たい私の手を暖めていく。
その続きを促すように、私はその手を握り返していた。
「…お前は、真選組に来なけりゃ、普通に暮らして、普通に幸せになることだって出来たんだ。物騒な刃物振り回すこともなく、普通の女として」
…それでも私は、この道を選んだ。その『普通の女として』の道じゃなく、真選組として戦う道を。それを選んだことに、後悔なんてものはないのだけれど。けれどそれを口にすることはなく、私は彼の言葉に耳を傾け続けた。
「…だからあん時も、お前を追い返そうとした」
「…！」
…ということは、あの時。私に刀を突きつけた時も、そのために…？
私が、歩むことが出来たはずの『普通の女としての道』を護るための、彼の優しさだったのか。あの時も、彼は私のために動いてくれていたのか。そんなの、
「…そんなの、知らなかった、です……」
「そりゃ、んなこと言ったの初めてだかんな」
一つ溜め息を溢して、隊長は続ける。
「…だが、お前にゃ尋常じゃない覚悟があって、結局真選組に入ってきた。……だが、」
「…だが…？」
首をかしげながらに言葉を区切った彼に問い掛けると、沖田隊長は不意に、私へと手を伸ばして、頬についた傷に……それを隠したガーゼに手を添えた。彼の両手は、私の頬と手に、触れている。
「…こーなんのが、怖かったんでィ」
「…え…？」
沖田隊長の手の温もりが、私の頬にも伝わってくる。
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雨散 - 惚れ薬いいいいいいい！！！！ (2019年8月5日 15時) (
レス) id: c6b3012422 (このIDを非表示/違反報告)
乙愛 - うおおおで爆笑しちゃったじゃないですかァ!!息が苦しかったですわぁー。 (2019年2月25日 21時) (レス) id: 6dafc5383a (このIDを非表示/違反報告)
月猫(プロフ) - 番外編、最高です！にやけが全く止まりませんww (2017年12月26日 14時) (レス) id: 84e6bcc189 (このIDを非表示/違反報告)
りん - 番外編だーヾ(´∀｀*)ﾉﾟやったー+.ヽ(≧▽≦)ﾉ.+ 凄い嬉しいです！(心の中で飛び跳ねています笑)まさか番外編が出るなんて…もうドキドキでした！本編も更新頑張って下さい。 (2017年12月11日 23時) (レス) id: 01d5cac8e5 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ゆっくりノワールさん» 何より仕事です(笑)。兎に角彼女は仕事してほしいんです(笑)。多分明日続編出すので、またよろしくお願いします^^ 更新頑張ります！ (2017年12月11日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピピコ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時：2017年11月18日 19時
