音 ページ1
Aside
……フラリと、私は後方へと受け身も取れないまま倒れるはずだった。そのはずだったのに、唐突に倒れる浮遊感は消えて、私の身体は暖かなぬくもりに包まれていた。血に濡れて、冷たくなっていた私の身体に触れたその体温は、私の心の芯から暖めていくようだった。私の目の前に迫っていた男の刀は、突然乱入した一本の銀色により動きを止められていた。男も、その仲間も、陽太も、そして私も、目を丸く見開かせた。
「…オイ、」
…鉄のような血のにおいが満ちた、静まり返ったその場に響いた、聞き覚えるのある声。その声は、私のすぐ傍で聞こえていた。トクン、と。私の心臓は久しぶりに、なんだか少しだけ甘い音をたてた。殺伐とした空気の漂うこの場には場違いな、優しい音が。
……どうして、
「……今すぐコイツから離れな」
…どうしてここに、貴方が居るんですか、沖田隊長。
「な…！？し、真選組一番隊隊長沖田総悟！！？」
何故お前がここに！！？と、男は私の気持ちを代弁するようにそう叫んだ。予想外の人物の登場に、明らかに狼狽えている。それは、私も同じだった。どうして彼がここにいて、私を抱き抱えるようにしているのか。私は何も言わずに、屯所から飛び出したはずなのに。
「……ど、うして…」
「……聞こえなかったのかィ」
…沖田隊長は私をその赤い目で一瞥した後、再び男を見据え、私の質問には答えないままに呟いた。今にも彼の身体から溢れ出してきそうなほどの怒りを帯びた声で、怒気を宿した目で。目の前にしたら、思考が止まってしまいような雰囲気を放って。
「コイツから離れろっつってんだ！！！」
怒鳴るように叫ぶと、沖田隊長は男の銀色を自身のその銀色で振り払った。自分の手から弾けとんでいった得物をソイツが視界に入れているうちに、隊長は容赦なく男の腹をその刃で斬り払った。叫び声をあげながらバタンッと派手に倒れた男を隊長は見下ろし、そうして漸く私を見たのだ。
「……たい、ちょ…」
「……バカ」
…戸惑ったような私の声を遮り、沖田隊長は呟いた。
「…ッ、」
…なんて、なんて声を出すんだろう。
弱々しくて、震えているようなその声。子供が泣き出す寸前のようなその声は、沖田隊長の口から発された声なのかと疑ってしまうくらいに、か細く消えてしまいそうだった。
「…一人で無茶しやがって」
「…お、きた…たいちょう…」
…ギュウッ、と。沖田隊長は私を強く強く、抱きしめた。
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雨散 - 惚れ薬いいいいいいい！！！！ (2019年8月5日 15時) (
レス) id: c6b3012422 (このIDを非表示/違反報告)
乙愛 - うおおおで爆笑しちゃったじゃないですかァ!!息が苦しかったですわぁー。 (2019年2月25日 21時) (レス) id: 6dafc5383a (このIDを非表示/違反報告)
月猫(プロフ) - 番外編、最高です！にやけが全く止まりませんww (2017年12月26日 14時) (レス) id: 84e6bcc189 (このIDを非表示/違反報告)
りん - 番外編だーヾ(´∀｀*)ﾉﾟやったー+.ヽ(≧▽≦)ﾉ.+ 凄い嬉しいです！(心の中で飛び跳ねています笑)まさか番外編が出るなんて…もうドキドキでした！本編も更新頑張って下さい。 (2017年12月11日 23時) (レス) id: 01d5cac8e5 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ゆっくりノワールさん» 何より仕事です(笑)。兎に角彼女は仕事してほしいんです(笑)。多分明日続編出すので、またよろしくお願いします^^ 更新頑張ります！ (2017年12月11日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピピコ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時：2017年11月18日 19時
