雨が降り私は歌う [KZ] (ページ5)

今日:13 hit、昨日:5 hit、合計:52,363 hit

#four ページ5

｢あっ誘拐じゃあありませんよっ！？｣

えっ。

急にですねまふさん。

私は本気であたふたしているまふさんの姿を見てクスリと笑う。

まふさんは私の様子を見てしばらくポカンとしていたがマスク越しでも分かるぐらいの笑顔を見せた。

わっカッコイイ…。

｢良かったです彩笑ってます…｣

次は私がポカンと口を開ける番だった。

そんな私の顔を見てクスリと笑ったまふさんは綺麗な目にからかうような光をみせた。

｢彩全然笑っていませんでしたから｣

私は思わず自分の頬に手を当てる。

えっ私まふさんに心配させちゃったの…？

えぇい。何処までも私はバカだ。

『すみません…。』

これまた消え入るような声を出してしまった。

｢なんで謝るんです？｣

私は顔を下に向けているとまふさんの綺麗な高音が頭から降り注いだ。

その声はふんわり怒りを含んでいる。

えっ…？

私は顔を上げた。

まふさんの真剣な目とぶつかる。

思わず私はどきりとした。

｢彩は何も悪いことなんてしていません。それなのにどうして彩は謝るんですか？｣

それは私が弱いから。

それは私が最低だから。

｢彩は"昔"から何も変わっていませんね。彩。貴方は自分を責めすぎです。｣

えっ…。

昔からって…。

私の膝の上でいろはちゃんがニァンと鳴く。

｢彩は笑顔がお似合いです。｣

そぅいってまふさんは笑った。

｢だから笑っていてください！｣

"僕みたいにならないで下さい"そうまふさんは小さく呟いだが私には届かなかった。

私の目からポツリと水が流れる。

『ありがとうございます…！！』

止まらなかった。

涙が

止まらなかった。

そんな私をまふさんは優しく撫でてくれた。

雨は冷たいが優しい。

雨は汚いがとても綺麗い。

まるで雨は人間そのものを表しているみたいだ。

嫌われガチな雨。

だが誰よりも雨が私を

救ってくれたの。