雨が降り私は歌う [KZ] (ページ38)

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#thirty two ページ38

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少年はパチクリと目を瞬きし、うらたさんを見た。

｢正解だけど｣

うらたさんはそう言うと、キッと少年を睨みつける。

｢うるさいんだよ坂田は。｣

少年は舌をペッと出し｢すんません｣っと謝る。

やはり何処か子犬のようだ。

可愛いらしい。

｢彩ちゃんこんにちはっ！｣

少年は私の方へ向き直ると、眩しいほどの笑顔で微笑む。

｢俺は坂田優といいますっ！さかたんと呼んでなっ！｣

これまた元気イケメンさんだ。

私はニコリと微笑む。

『初めまして。私は立花彩です。坂田さん宜しくお願いします。』

｢さんたん｣

『坂田さん宜しくお願いします』

｢さかたんと呼んで｣

『坂田さん』

｢さかたんっ！｣

『坂田さん』

｢嫌頑固だな彩ちゃんはっ！｣

坂田さんはそう言うと驚いたように目を丸くあける。

年上の人がだから…………さん付けしないといけないと思うんだよね。私。

『一応、皆さんの方が年上なので……』

少し、迷惑かな？っと思いながら、話すと、坂田さんはニカッと少年のように笑う。

｢俺がさかたんと呼ばれたいんやっ！｣

そう言う坂田さんの顔には一切迷いが感じられなかった。

とても綺麗な笑みで

とても綺麗な言葉だった。

この人なら大丈夫だろうとまた直感で思えるような人だった。

私は下を向く。

なんだろうか。この感情は。

久しぶりのようで、どこかとても幸せを感じる、この感情は。

私は上をみ、坂田さんの目を見て、にこっと微笑む。

『では、呼ばせていただきますっ！さかたんよろしくお願いしますっ！』

｢おぉっ！よろしくな彩っ！｣

さかたんはそう言うとかつての若武のように、少年らしく微笑む。

｢お前……凄いな……｣

うらたさんはさかたんを横目で見ながら、ボソッ呟く。

｢……なんだよ……そのコミニュケーション能力…………。ってかいつの前にか彩って呼び捨てしてるし……単純だけじゃないんだな……お前｣

うらたさんは関心したと言うようにまじまじとさかたんを見た。

｢えっ？何うらたさん嫉妬？嫉妬なの？｣

さかたんはニヤニヤと口角をあげなら、うらたさんを見る。

これはいたずらっ子の表情だ。

可愛い。

｢するはずねぇだろうアホ坂田。｣

｢酷いっ！うらたさんのたぬきっ！｣

｢なんだよその返し方っ！｣

さかたんはメソメソと泣くような演技をする。