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「ありがとうございます。仕事の邪魔してごめんなさい」
「大丈夫ですよ。役に立てたかわかりませんが……」
「あはは、心配しなくていいですって。俺より絶対センスいいですから」
笑いながら言うと櫻井さんは手に持っていた洋服をソファに戻す。
「じゃあ、あとお願いします。あ、悪いんですけどこの服とそこの鞄も仕舞っといてもらえますか」
「かしこまりました」
「終わり次第帰ってもらって大丈夫なので」
「わかりました」
櫻井さんは一つの鞄を選ぶと財布やスマホを詰め込んでいく。
最後にさっき私に見せてくれたジャケットを羽織ると姿見で一度全身を確認。
「あ、もう出ないと。では雛田さん、行って来ます」
「行ってらっしゃいませ」
櫻井さんは大層余所行きのお洒落な服装で家を出て行った。
私が指さしたのとは反対の、グレージュのタイトなジャケットを羽織って。
外はかなり空気が冷たかったけどあの格好で寒くないかなと、私はそれが気になってしばらく櫻井さんが出て行った玄関を見つめていた。
櫻井さん、いったいどこへ出かけたんだろう。
センスがないなんて言いながらもしっかりとお洒落をして休日に出かけていく。
時間を気にしていたから相手がいるのかもしれない。
そう、例えば。
「彼女、とか……」
私ひとりになった部屋でぽつりとつぶやく。
自分で言った言葉にふるふると首を振って邪推を追い出す。
プライベートを詮索する権利なんて私にはない。
私にあるのは、広げられた洋服や鞄を元の場所へと戻す仕事の権利だけだ。
帰っててくださいというのだから業務時間ないに櫻井さんは帰ってこないのだろう。
今日はほとんど話すこともできなかったな……そう思ったら何となく足が重たい。
風が出てきたのか窓ガラスが音を立てている。
私は一つため息を吐くと、ソファに取り残されたブラウンの大判ジャケットをゆっくりと手に取った。
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iCHiKA(プロフ) - shiさん» この度もありがとうございます！二人の距離もやっと変わり始める…といったところですので、お楽しみいただけたら嬉しいです。 (2021年2月28日 22時) (
レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
shi(プロフ) - こんばんは！！翔さん何かありましたね( .. )この後の主人公と翔さんの行方楽しみにしています！！ (2021年2月26日 22時) (レス) id: 4f699932a6 (このIDを非表示/違反報告)
iCHiKA(プロフ) - shiさん» コメントありがとうございます！驚いてもらえたなら嬉しいです。雨にぬれたSさん想像しながらぜひ続き読んでくださいませ。楽しんでもらえたら光栄です。 (2021年2月24日 20時) (レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
shi(プロフ) - おはようございます！！まさかの帰ってきたにドキドキです！！次回も楽しみにしています(^^) (2021年2月23日 8時) (レス) id: 4f699932a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2021年1月24日 14時
