――25 ページ29
.
これもまた、本気か冗談かわからない。
……いや、さすがに冗談だよね。
なんて考えつつ意味もなく水に口をつける。
「雛田さんなら手当ても丁寧そうですから」
「そうでしょうか…」
「絶対そうですよ、料理も掃除もこんなに丁寧なんですから。というか、あいつより丁寧じゃない手当なんて普通の人にはできませんよ」
「あいつ……？」
「……あー……ごめんなさい、何でもないです。ちょっと飲みすぎかな……気が緩みました、忘れてください」
パッと気まずそうな顔に変わった櫻井さんは視線をさまよわせると曖昧にそう言って残っていたワインを一気に煽った。
空になったグラスにそのまま水をガバガバ注いでまた一気に飲み干している。
「はあ。……ごめんなさい、手当ては自分でします。でも、いつかチャレンジしたら雛田さんが味見してくださいね」
「それは…もちろん……。むしろ私でいいんですか？」
忘れてくれと櫻井さんに言われてしまったら、いくら気になっても私にはそれ以上踏み込んで話を聞くことはできない。
だから疑問は飲み込んで気にしないふりで言葉を交わす。
「だって、俺に教えたのは雛田さんですよ？責任取ってもらわなきゃ」
きゅっと唇の端を持ち上げて弧を描いた櫻井さんは、さっきの話なんてもう忘れてしまったみたいに楽しそうに笑っていた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 747人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
iCHiKA(プロフ) - shiさん» この度もありがとうございます！二人の距離もやっと変わり始める…といったところですので、お楽しみいただけたら嬉しいです。 (2021年2月28日 22時) (
レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
shi(プロフ) - こんばんは！！翔さん何かありましたね( .. )この後の主人公と翔さんの行方楽しみにしています！！ (2021年2月26日 22時) (レス) id: 4f699932a6 (このIDを非表示/違反報告)
iCHiKA(プロフ) - shiさん» コメントありがとうございます！驚いてもらえたなら嬉しいです。雨にぬれたSさん想像しながらぜひ続き読んでくださいませ。楽しんでもらえたら光栄です。 (2021年2月24日 20時) (レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
shi(プロフ) - おはようございます！！まさかの帰ってきたにドキドキです！！次回も楽しみにしています(^^) (2021年2月23日 8時) (レス) id: 4f699932a6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：iCHiKA
| 作成日時：2021年1月24日 14時
