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浴衣 ページ17

夏休み最後の日。
朝起きると一件、メールが届いていた。


【to:総悟

徳川から連絡が来て、今日の江戸祭り6人で行かないかって。
集合は18時に学校。
チャイナ娘も来るらしい。
行くなら連絡しろ。
行かなくても連絡しろ。
from:土方】

【to:クソマヨ方

行きやす。
てかチャイナなんて知らねぇし。
from:総悟】


知らねぇし、とか言いながらワクワクしている自分にビンタを喰らわす。

朝ご飯を食べて、食器を洗って、洗濯物をして、風呂を掃除して、昼ご飯を食べて、テレビを見て……
そんな時間がとてつもなく長く感じられた。

学校前に行くと男子陣は全員来ていた。しばらく話をしていると、遠くからよく目立つ桃色が見えた。
女子たちははみんな浴衣を着ていた。

「お待たせアル」

彼女はいつも二つに結んでいる髪をひとつに結ってお団子にし、青色の生地にオレンジ色の金魚がスイスイと泳いでいる浴衣を着ていた。

「馬子にも衣装……」

「あ?」

そんなことを言ったが、通り過ぎていく男子が必ず振り返るくらい彼女はとても可愛かった。
祭りに着くとたくさんの人でもう既に賑わっていた。

「あれ可愛い!」

「射的やろー!」

彼女らは綿あめやらりんご飴やらを食べ歩いた。やはり、女子は甘いものが似合う。

歩いていると、花火が上がる時間になり、花火がよく見える場所に移動することにした。
余りにも神楽はテンションが上がりすぎて、妙たちを見失ってしまった。

周りを見渡しても見知った顔を見えない。
ひとりぼっちになってしまった。いや、元々ひとりぼっちだったのだ。
父にも兄にも捨てられて育った私はもう既に一人だったのだ。

足が痛い。
そんなことを呟いても誰も助けの手を差し伸べてくれない。

「あれ?お姉ちゃんひとり?俺たちと遊ばない?」

声をかけてきたのは同い年くらいのヤンキー三人組。

「私、友達と来てて……」

「でもいないじゃーん。俺たちと回るついでに探そうよー」

怖い。

怖い。

怖い。

強い力で腕を掴まれる。

「嫌っ!」

ずりずりと人気のない路地へと引きずり込まれる。

「助けて!……サド!!!」

何故か私の口から出たのは彼の名前。
その途端、一瞬にして男達が地面に這い蹲る。

「テメェ!誰だ!!!」

「銀魂高校3年Z組、沖田総悟でさァ。テメェらまだやるかィ?」

「おい!沖田って……!」

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作者名:なちょ | 作成日時:2018年10月15日 21時

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