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澪奈の時も、私じゃないと教室を出た彼女に対し、あの対応はほんとにやってるな、とそう言ったのだ。つまり、反論すればする程そういう言葉は出てきて、余計にことを荒立てることになる。今ここでは何もせずに、波が収まるのを待つしかない。

最低、尻軽、ビッチ、淫乱、色んな罵倒が聞こえてくる。良くもまぁそんな人を蔑む言葉が出てくるものだ。その頭をほかの事に使うことが出来るのに、人と言うものは酷く愚かで醜い。

黙って俯き、何も言わない。反抗しない私をここぞとばかりに攻撃する。そんな場の空気を変えたのは、真壁君だった。

「北原はそんな安い人間じゃないだろ」

私と里見君の間に立ち、静かに彼を見つめる真壁君はいつになく真剣で、その雰囲気に皆の罵声が止んだ。

「俺も一緒に準備室に行ったよな」

「……」

そう。確かあの時準備室に来たのはこの2人だと先生がいっていた。里見君だけでなく真壁君もあそこにいたのだ。

「あの時、北原はほんとに眠っていただけだっただろ。」

「んだよ、有り得ない話じゃねぇだろ」

反抗する真壁君に里見君は立ち上がり睨み返す。背の高い里見君が自然と見下ろす形になる。真壁君に対し圧をかける形。それでも真壁君は臆せず堂々としていた。

「普段の北原を見てれば、そんなことを簡単にする人間じゃないのは皆分かってるはずだろ!何時も自分の決めた事を貫き通す芯の強い奴だ。そんな北原がそんな事はしない」

しっかりと里見君を見ているその姿は、頼もしい。そんな風に思われているなんて知らなかったから、素直に嬉しかった。ありがとう、心の中で呟く。すると今度は女子の声がした。その声の主は宇佐美さんで、

「澪奈の事があってから皆Aの事を遠巻きにしてたけど、学年が上がってすぐはちゃんと仲良しだったでしょ。だから皆、Aがどういう人かは知ってる。なら、どっちの言ってることが正しいかぐらい分かるよね」

と、私を庇ってくれる。目が合ったらそっとそらされたけど、何だか仲良くなれたのかなと勝手に思っておく事にしよう。

2人の声に教室の空気が変わった。

「里見お前は、事実を有りもしない嘘に聞こえるように誇張して、人を悲しませて…いい加減そんな事辞めろよ」

クイッと手を引かれる。後ろを見ればそこにいるのは茅野ちゃん。されるがままに彼女について行けば、自然と彼らから離れる形となった。茅野ちゃんのさり気ない優しさに、冷えた心が暖かくなった。

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理音(プロフ) - 続き気になります!更新楽しみにしています! (2022年8月20日 18時) (レス) id: d2e2ccbd11 (このIDを非表示/違反報告)
蒼炎(プロフ) - 初めまして!柊一颯落ちで物凄く嬉しいです!!更新待っています!これからも頑張ってください!! (2021年2月26日 21時) (レス) id: bdaf0ebad8 (このIDを非表示/違反報告)
くすさな(プロフ) - しろごめさん» ありがとうございます!柊先生オチです(≧ω≦)bこれからもよろしくお願いします(*^^*) (2019年3月16日 8時) (レス) id: 780399e946 (このIDを非表示/違反報告)
しろごめ(プロフ) - コメント失礼します!ぶっきー落ちと聞いて見に来ました!笑更新頑張ってください、応援してます!!(*´∀`*) (2019年3月15日 23時) (レス) id: f6e80c062e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くすさな x他1人 | 作成日時:2019年3月14日 23時

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