8話表と裏の入れ替わり ページ9
｢あ、あの！｣
｢ん？｣
｢は、恥ずかしいので…下ろして、ください…｣
段々尻すぼみになっていくAの声にフレッドはニヤリと悪戯っ子のような笑みを浮かべた。
｢全く、お姫様は可愛いことで｣
｢お姫様じゃないですよ…！とにかく、下ろしてください…！｣
フレッドの態度にAは先程のハーマイオニーのようにムッとして、その肩を軽く押しながら抵抗する。
｢おい、相棒。流石にそろそろ離してやれよ｣
｢仕方ないなぁ｣
双子のジョージが声をかけてフレッドはようやくAを地面に下ろした。
Aは少し前を歩いていたハーマイオニーに横に小走りで並んだ。
｢あら？もう抱っこはいいのかしら？｣
クスクスと笑いながら揶揄うようにそういうハーマイオニーにAは顔を赤くしながら言い返す。
｢もう…そんな歳じゃないんだよ？｣
｢ふふっ、冗談よ。昨日より楽しそうで安心したわ！｣
ハーマイオニーの言う通り、昨日グリフィンドールの生徒たちに受け入れられて学校生活が少し楽しみになってきたのも、今この状況が楽しいのも事実だ。
しかし、楽しい気分もこの時までだった。
｢おや？誰かと思えば、魔法も使えない親もいない可哀想なマグルじゃないか｣
いざ、講堂に入ろうとしていた所に後ろから明らかに悪意を含んだそんな言葉が投げかけられた。
Aは肩をビクリと震わせ、恐る恐る振り向いた。
そこには、スリザリンのローブを羽織った金髪の少年とその後ろに少年の子分のような少年が2人立っていた。
｢えっと…｣
見た事のないその人物達にAは困惑する。
すぐにAと少年達の間にハーマイオニーとハリー、ロンが入り込む。
｢なんだよマルフォイ｣
ハリーに‘マルフォイ’と呼ばれた少年はフンッと鼻で笑いAを指さしながら嫌味を口にする。
｢穢れた血だけでも賎しいというのに、魔法も使えないようなマグルがいるとは…所詮はグリフィンドールだな｣
｢やめなさいよ！グリフィンドールは関係ないでしょう！それに、貴方みたいな人を見下すような人がいる寮こそたかが知れてるわ！｣
‘穢れた血’という言葉に逆上したのかハーマイオニーがすごい勢いでまくし立てる。
｢なんだと！？｣
｢あの…！｣
マルフォイが怒りでハーマイオニーに掴みかかろうとした時、口を開いたのは意外にもAだった。
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作者名：ともも も もも も もものうち | 作成日時：2019年12月17日 16時
