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『っく……』



息の詰まる音。



しーんと耳に突き刺さる静寂に、私は恐怖を覚えた。



やっと手に入れた安心感は、失われた。


どこかでこうなってしまうのではという予感はあったはずだが、どうして身構えてなかったのだろうか。




ぷつり、と私を縛っていた透明な糸は切れた。



『………薬研さん!!!』



裏返りながら叫ぶ。



こんな時叫んだって、名前を口に出したって、返事が返ってくることに期待はない。



だが、そうしないと狂ってしまう。



後ろに見える()の笑みを見て。




絶望に目を見開くと、自然に頬を伝う涙。




彼より今は薬研さん…。そう思って薬研さんの頬に手のひらを添え、その身を自身に寄せようとした時。







____ぱきり




………乾いた無機質な音がした。



直感から察するその異様なほど恐ろしい音。



いやだいやだいやだ。



なんだって、そんな…。





まだ。…まだ、人の形を残した薬研さんの髪の毛を撫でながら、その神様(・・)を睨む。



『どうして』




絞り出した声は、無様に震えていた。


そんな私とは裏腹に、彼は、即答した。



「どうして、だ?ははは、驚かせてくれるなぁ!こそこそと動き回って、刀剣を顕現させて…そして甘美な友情を…って?」



目を見開き口の端をつりあげるその神様は、自らが崩したこの場の状況を、心底楽しんでいた。



あの三日月宗近と、同じだった。




ぐらりと心の中で動いた感情。



いや、溢れ出した…、気がついた、感情。




どろりとした気持ちの悪い、今までどうして出てこなかったのか。



この本丸にいる刀剣の神様たちが持っている感情と、似た感情。



『あ…』


いやな感情。



どうでもよくなってしまうじゃないか。




この感情の名前は、どっちかな。




恨み?絶望?



だけど、そんなことしたって神様は救ってくれない。



あれ、神様は今目の前にも私の手の中にもいる。




あれ、どういうこと?





『____神様ってなに?』

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ニャンコソバ2(プロフ) - 若葉さん» うわぁあ!!まだ見てくださってた方が…!!ありがとうございます頑張れます…!! (2020年11月8日 10時) (レス) id: addc7bb8eb (このIDを非表示/違反報告)
若葉 - 更新待ってます! (2020年11月8日 1時) (レス) id: 5ef262c096 (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコソバ2(プロフ) - 幸別愛友さん» ありがとうございますー!!!これからもどうぞよろしくお願いします!! (2019年12月14日 6時) (レス) id: addc7bb8eb (このIDを非表示/違反報告)
幸別愛友 - この世界観すごく好きです!続きがすごく楽しみです!待ってます!! (2019年11月12日 23時) (レス) id: 978af02bfc (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコソバ2(プロフ) - さらさん» うわぁあありがとうございます!!!!!オチは悩み中です…。いきあたりばったりで書いてる駄作者なので…。 これからも応援よろしくお願いしますっっっ (2019年11月5日 22時) (レス) id: addc7bb8eb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ニャンコソバ | 作成日時:2018年12月31日 17時

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