夜が明けるまで

今日はいい夜 ページ7

・・・・・「すみません，お会計をー」
「ハイ！お待ちください」・・・・
帰るお客さんに呼ばれて，マスターが行ってしまった。


突然の2人きり


黙り込むのも何かおかしい。

だけど，人見知りな私の性格が本当にこーゆー時，困る。。。


「あのー，たまに来られてますよね？」
私は思い切って彼に向かって声をかけた。



目線を彼に向けた時
彼はカップを口元にあてながら私を見ていた。
あ！こっち見てたんだ、、、！



「あっ…えぇ。時々お会いしますね？」
彼も私を知ってたんだ！

カップを持つ手の甲の男らしい筋と指先が素敵だな。。。


「そっ…そうですねっ…！
仕事帰りにぼんやりしたくて，来てますっ…！」
あははって恥ずかしいのを誤魔化すように笑って，慌てて答える私。


「僕もそんな感じです。」
彼も笑った。
笑うとこんな優しそうな顔になるんだー。


お客さんを送り出したマスターが戻ってくる。
「あ，Aさん。それ貸しますよー」と，私の手にあるCDを指差す。


「え！いいんですかっ？」

お店に通うとこーゆーオマケがついてくる。


マスターがいいですよ，と，頷きながら，
彼に向かって
「こちら，Aさん。よく来て頂いてるんですよ。」
と私を紹介した。


「あ，Aです。」

「こちらは，藤ヶ谷さん。藤ヶ谷さんもよく来て頂いたるんですよ。」

マスターは彼のことも紹介してくれた。


「藤ヶ谷です。」

彼が少しだけ戸惑ったような感じで名前を言った。


？？

「藤ヶ谷さん，，，あ，マスターちょうど，お店で時々お会いしますねって言ってたところなんです。」
私がマスターに話しかけると，彼は少しホッとしたような表情をしていた。



「来られる時間帯が結構同じですもんね。」

「遅めの時間ですねー」

「これ，藤ヶ谷さんも次に借りられますか？」

私は手に持つCDを藤ヶ谷さんに渡した。


マスター「どうぞ。どうぞ。」

「え？いいんですか？ありがとうございます。じゃぁ，Aさんの次に。」



新しいお知り合いが出来た！


オトナになると…仕事の関係の人ばかりが増えて，純粋に仕事じゃない自分の時間で新しいお友達やお知り合いと繋がっていくってなかなか機会がない。



しかもこんな素敵な人と。



素敵なお店に集まる人は，やっぱり素敵な人が多い。


何だか今日はいい夜だな♡

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