夜が明けるまで

彼 ページ5

パッと入口の方に目を向けると…




あ。あの人だ。


あの何度か見かけるキレイな横顔の彼だった。


「いらっしゃいませ」のマスターの声に彼がこっちに目を向けた。


あ…


目が合ってしまった。



私は思わず軽く会釈をしてしまった。。。



彼も目が合った事に気が付いて
つられて？軽く会釈を返してくれた。



しまったー！
何となく自分の中で知ってる人だから，ついやってしまった。


「こんばんは」
彼は，小さい声でマスターに少し微笑む。



メガネが似合うなー。
きっと彼を正面から見るのは初めてかも。




「奥，どうぞ。」と，
マスターは彼がいつも座るソファ席を勧める。



「ありがとうございます。」
彼は，また微笑んでマスターに返すと奥のソファ席へと歩いていった。


側を通った時
彼の甘い香りが鼻をかすめる。



いい香り…。

どこのフレグランスだろう。




いい香りのする男性は
それだけで何か３割増しくらい素敵に見える。
私の持論だけど，これ絶対！



昔はいい香りがするだけでコロっと転がされてたなぁ〜、、、なんて
馬鹿な事を思い出したり，と，
私は，また自分の思考の中に迷い込む。





彼は，肩から掛けていた革ジャンを脱ぎながらソファに座る時に，チラリと私を見ていた。

思考の中の私は，もちろんそんな事に気付かない。

右隣り→←マスター

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