21.もしかして ページ21
「………??」
「…〜〜っ!!」
明らかにおかしい。
確かに私は「好きだ」と自覚はした。
しかしまだ口にはしていない。
でも耳まで赤くする善逸くんの動揺の音は、明らかに想いを告げられた人のそれ。
………もしかして。
物は試し、ともう一度、心からの愛の告白を善逸くんにしてみる。
善逸くん、好きです。
貴方のことが、誰よりも大好きです。
………あぁ、勿論心の中で、だ。
すると、
「っ?!…〜〜っ?!」
また一段と、煙の上がりそうな程、顔が赤くなる善逸くん。
あれ、これやっぱりそうなんじゃないの?
ふと、前に朔と話した「我妻善逸」という1回生の話を思い出す。
確か彼は絶対音感持ち。
耳が良いのだとは思っていたが………まさか。
「ねぇ善逸くん、」
「A、あのさ」
もしかして人より耳が良かったりする?
そう聞こうとしたけれど、話し始めが被ってしまった。
「失礼、善逸くんお先どうぞ?」
「……じゃあお言葉に甘えるね」
ニコ、と微笑み、年上ムーブを決めると、少し考えた後に、善逸くんが話し始めてくれる。
「Aって、もしかして人より耳が良かったりする?」
「……どうしてそう思うの?」
驚いた。まさか私が考えていたものと同じ質問が来るとは思わなかった。
これには思わず何故か余裕を装ってしまう。
「……もう呼び捨てで呼んでくれないの?って言ってた時に、もしかして、寝ていても周りの音が聞こえているんじゃないかって」
「あぁ……」
深く納得する。
確かにそんなこと言ったし、それがあったから今の善逸くんは呼び捨てにしてくれているんだ。
「じゃあ聞くけど……善逸くんだって私と同じでしょ?」
「え、」
私だけ聞かれているこの状況に終止符を打つために、こちらも反撃開始とする。
まさか聞き返してくるとは思わなかったであろう善逸くんが呆気にとられる。
「そのあからさま過ぎる動揺の音、駄々洩れだけど……?」
「……ど、「動揺の音」、って!えっ噓!?あれワザとだったの?!」
「ふふ、「あれ」ってなーに?」
「っ!……う、そ……だ」
分かりやすい焦りっぷりに少し楽しくなってしまって、ちょっとからかってみる。
この反応を見るからして、噓の音なんて分かるだろうに、顔を真っ赤に染めている。
……あぁ、愛しいな。
そう思えば、また、ドクンと善逸くんの音が乱れた。
「善逸くん、私、君のことがs「待って」………?」
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:tokumei | 作成日時:2023年8月21日 13時