留まる思いは知っている・・・

深山つばさ、遭遇！ ページ8

ー彩ー

ふぅ。

「いきなり、お泊まりなんて．．．黒木君がいなきゃＯＫしなかったのよ」

分かってるよ。

「気をつけます」

あれから、失神してた若武にも許可を取って、ほんとに泊まることになっちゃった。

あれ．．．そういえば、幼馴染の件は大丈夫だったのかな？




うん。

まぁいいか。

｢よし｣

必要なものは、入ってるよね。

｢いいねぁ。奈子もお泊まり会行きたい！｣

ダメ。

...奈子は智くんとお泊まりすれば？

｢あ、お姉ちゃん、彼氏とお泊まりか。じゃあ、邪魔しちゃダメだね｣

邪魔...?

｢分かんないなら良いよ｣

はぁ...?

｢じゃあ、行ってきます｣

｢バイバーイ！｣

手を降る奈子を見ながら、外に出る。

うっ。

結構、重いかも。

｢手伝おうか？｣

え．．．．．．。

ビックリして顔を上げると、私の目の前には、可愛い女の子。

だ、誰？

｢わ、ごめんね。急に話しかけちゃって｣

その子は、そう言いながらテヘッと舌を出す。

｢私は、深山つばさ。中１だよ｣

...つばさちゃん。

｢可愛い名前｣

そう言うと、つばさちゃんは照れたように下を向く。

｢片想いしてる、幼馴染とね、おそろいなの｣

最近、よく聴く幼馴染というキーワードに違和感を覚える。

そういえば...、翼の幼馴染って...。

｢あの、つばさちゃんの幼馴染って...美門、翼って名前？｣

｢え．．．翼のこと、知ってるの？｣

あ、やっぱり、そうなんだ。

｢うん。同じ学校なの｣

｢へぇ！すごい偶然だね！私、今日は翼の家に泊まるんだ！だけど...翼いなくて｣

途中までにこにこ笑顔で話してたつばさちゃんが急にしょぼんとした顔になる。

あ、若武の家に泊まること知らないんだ。

急に決まったもんね。

はて、どうしたものか。

んっと、取り合えず、

｢翼ね、今日は友達の家に泊まるんだよ。私もね。良かったら、つばさちゃんも来る？｣

｢お泊まりか.....そうだったんだぁ｣

やっと、笑顔になったつばさちゃんにホッとする。

良かった。

｢翼もいるんだったら、行こうかな。ねぇ、貴方、名前は？｣

あ、そういえば教えてなかったっけ。

｢私は、立花彩。つばさちゃんと同じ中１だよ｣

｢へぇ。よろしくね、彩ちゃん！｣

｢うん。よろしく｣

なんだ、翼が言ってたほど悪い子じゃないな。

そう思いながら、私達は若武の家に向かうのでした。

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