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CHAPTER 02 無意味な殺人は無意味な殺人を呼ぶ ページ45

「本当はひとらんくんが殺そうとしてたのは、私だったのにって思って」

私がそう言うと、ゾムくんは頭上に疑問符を浮かべながら「ん?ん?どゆこと?」と眉を顰める。

「茶番ちゃんが言ってたでしょ、ひとらんくんが復讐鬼になった理由」
「あの、ナンタカって組織が原因で家族が死んだとかってやつ?」

自信なさげに答えた彼に、私は「そう、それ」と指をさした。
私の口ぶりから話が長くなると思ったのか、ゾムくんは3分以上経ったカップ麺を手に取る。

「ひとらんくんはテロで家族が死んだ代わりに、組織の理事長の子供を殺そうとしてた。それを大先生だと勘違いして殺そうとしたって、茶番ちゃんは言ってたけど…」

そこまで言うとゾムくんは薄々察したのか「っえ、ちょ、えっ」なんて戸惑いを隠せないまま、ゆっくりとカップ麺を置き直した。

「本当は私を殺すべきだった、私がその理事長の子供なのに」
「………」

もし彼が私だと知っていたら、今頃死んでいたのは私とひとらんくんだ。
大先生はただ、私たちの問題に巻き込まれただけ。
今更二人に謝ろうとは思わないが、せめて自分も死ねたらよかったのにと思う。


「Aちゃんは知ってたん?ひとらんのこと」
「ううん、茶番ちゃんから聞かされたのが初めて」

「嘘じゃないよ、本当に…」と言いかけるとゾムくんは「うん、信じるって」と言って私の背中に触れた。

「当時教祖になる前で普通と変わらない子供だったから、組織のことは何も教えてもらえなかった。記憶も曖昧で、父のこともあまり覚えてないし…」

今はただ、父のような先導者にはなりたくない一心で過ごしているだけ。
私がそこまで言い終わると、ゾムくんは開いた口が塞がらない様子で私を見た。

「…ごめんね、こんな話して」
「いや、それは全然ええけど…マンちゃんに話すつもりないん?」
「マンちゃんに?絶対やだ!」

声を上げた私に「そんなに?」とゾムくんは苦笑いを浮かべながら言った。

「俺なんかに話すより、マンちゃんに話す方がよっぽど楽になると思うけど」
「きっと嫌われる」
「そんなことないと思うけど…」

確信はないが、自分ならこんな奴友達だと思いたくない。
だからってゾムくんに話した理由は、嫌われそうにないからとかそんな理由でもない。
彼になら嫌われてもいい、ただそんな気がしただけだ。

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わたうさ@火星人☆(プロフ) - 名無しくんさん» ご愁傷様です…(´ー`;) (2019年9月23日 12時) (レス) id: af7c01dafc (このIDを非表示/違反報告)
名無しくん - 推しが…死にましたぁ…(°▽°) (2019年9月23日 11時) (レス) id: f915d9c3de (このIDを非表示/違反報告)
わたうさ@火星人☆(プロフ) - 閑さん» はじめまして、いつも閲覧有難うございます!私も大好きで、d!様と原作者様には感謝しかないです…かたつむり更新ですが自分のペースで頑張ります!有難うございます! (2018年12月28日 14時) (レス) id: af7c01dafc (このIDを非表示/違反報告)
- はじめまして、いつも楽しく見させて頂いてます! d!もダンロンも大好きなので主さんには本当に感謝しかないです…これからも更新など頑張ってください (2018年12月28日 14時) (レス) id: 8c1224d0db (このIDを非表示/違反報告)
わたうさ@火星人☆(プロフ) - 蒼空さん» ひえええ!両方推しだったなんて!!今後名前だけでも沢山出します!!これからも閲覧お願いします!コメント有難うございます! (2018年12月15日 17時) (レス) id: af7c01dafc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わたうさ@火星人☆ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年10月16日 12時

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