CHAPTER 05 総統が恐れるは破滅より孤独 ページ31
『昨日見ちゃったんだよね〜！お前ら四人が仲良さげに話してるところ！』
「…それが、なんやねん」
茶番ちゃんは、私とゾムくんとエーミールくん、ショッピくんの四人を順番に指差しながら言った。
恐らく昨日の夜に個室前で話していたことだろう。
『グルッペンが仲間外れにされちゃってるのは、学園長としても悲しいことなんだけど…一人を犠牲にすることによって他の四人が団結できるなら、それはそれで素晴らしいよ！』
「犠牲って、言い方…」
エーミールくんは茶番ちゃんの言い方が気に食わなかったようで、顔を顰める。
確かに言い方は悪いが、事実でもあるため私たちは何も言い返せない。
グルちゃん一人を目の敵にして、私たち四人は協力することになったのだから。
『てな訳で！今回の動機は、よりお前らの仲を深めるために急遽神様が用意してくれたものなんだ！』
「は？」
私たちの仲をより深めるための動機？
そんなもの、殺人の動機になんてならないような気がするのだが。
‘‘神様’’と茶番ちゃんの意図が分からず呆気に取られる私達をおいて、茶番ちゃんは一枚の折り畳まれた紙を取り出した。
『テレレレッテレ〜！！動機の情報が書かれた紙〜！！』
「まんまじゃねーか」
突っ込むゾムくんに、茶番ちゃんはわざとらしく「ごほんっ」と咳払いをして仕切り直した。
『…これが今回の動機だよ！お前らの仲を深めるためのありがた〜い情報が書いてあるんだ！』
「読むよ？読むよ？読んでいい？」と勿体ぶる茶番ちゃんに、ゾムくんたちは苛つき始める。
それを察したらしい茶番ちゃんは「…短気だなぁ」と呟きつつ、紙を開いた。
殺人の動機だとしても、私たちがより団結できるような情報ならほしいに決まっている。
グルちゃんはあまり興味なさそうだが、私たちは音も立てず静かに待った。
『‘‘内通者について’’』
「…っえ？」
驚いて、思わず声が出る。
しかし茶番ちゃんは私のことなんて気にしないで続けた。
『‘‘生き残った君ら五人の中には、一人の内通者が紛れている。勿論その内通者はこちら側の協力者であり、’’……この辺は長いから飛ばすね！』
…正直全て読み上げてほしいのだが。
茶番ちゃんは「えーと、うーんと」と声を漏らしながら、目で文章を追う。
『…‘‘つまり内通者とは、君たちからすれば裏切り者である’’っと』
「………」
大分内容を端折ったようだが。
茶番ちゃんがこの情報をわざわざ‘‘動機’’だと言った理由が分かった。
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