CHAPTER 05 総統が恐れるは破滅より孤独 ページ22
超高校級の劣等生の研究教室を後にすると、薄暗い廊下の突き当たりにもう一部屋あることに気がついた。
扉は、不定期にチカチカと点滅を繰り返す蛍光灯に照らされている。
劣等生の研究教室で、今度こそ最後だと思っていたのだが。
「これでやっと最後か…」
「扉の規模が他と違うし、研究教室ではなさそうだね」
大きくて、見るからに重たそうな扉だ。
本来の学校にこんな施設はないだろうし、一体何の部屋…?
恐る恐る大きな扉を引くと、想像していたものの何倍も重たくて私は驚く。
「っゔ!おもっ!」
思わず声を上げると、慌ててゾムくんたちが手を貸してくれた。
扉が大きいという理由もあるだろうが、何より金庫のような作りの扉はコンクリートでできていた。
一人で開けられないこともないが、油断していると指を挟むかもしれない。
「やけに厳重なんやな…」
「一体何がこんなところに、」
一番最初に開いた扉の先を覗き込んだゾムくんは、ピタッと動きを止める。
「どうしたの?」と私たちが声を掛けるよりも先に、ゾムくんはさっさと部屋の中に駆け込んでいった。
「っえ、ゾムさん…!?」
慌てて私たちも追いかける。
その部屋は、何処よりも天井の高い倉庫だった。
しかもただの倉庫ではなく、ゾムくんが好きそうな武器や戦車が保管されている倉庫だ。
案の定ゾムくんは、子供のように目を輝かせていた。
「え、やば!すんごっ!」
語彙力が失われるとは、まさにこのことか。
ゾムくんは歓喜の声を上げると、戦車の方へ駆けて行った。
こんな危険なものが学園の五階にあっただなんて、想像もしていなかった私たちは開いた口が塞がらない。
「倉庫は倉庫でも、武器庫ってやつですね」
「何でこんなものが学園に…?」
「どうせ茶番ちゃんの趣味でしょ」
そう言いながらショッピくんは、一番近くにあった軽機関銃を手に取った。
素人が使い方を知っているわけもなく、彼は一度だけ構えると、すぐに元あった場所へ戻す。
「なあエミさん!これって本物かな!?」
不意にゾムくんがエーミールくんを呼んだ。
私たちが彼の方は目を向けると、ゾムくんは飾られた戦車のうちの一つによじ登っていた。
「…軽い素材でできたレプリカだと思いますよ」
「なんだ、本物じゃないのか」
レプリカだと知るや否や、途端にゾムくんは興味をなくして戦車を降りる。
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わたうさ@火星人☆(プロフ) - 廻りさん» 生存予想で意外だと言って頂けるときが一番楽しいです…!!終盤に近付いてきて、生き残り枠も透けてきた感じがしますね!なんだそのif面白そうですね…!?もう沢山妄想してください、その言葉だけでご飯が進みます^ ^ありがとうございます!頑張ります!! (2020年9月27日 18時) (レス) id: af7c01dafc (このIDを非表示/違反報告)
廻り - ifみたいになっちゃいますがゲームのループ物みたいに夢主ちゃんが生存に導いたりするのも楽しそうですよね……物語読みつつそんな妄想が膨らんでいく私であります。それも含めて今最高の気分で9パート全て見終わってきました……これからも頑張って!!! (2020年9月27日 2時) (レス) id: db0db57d74 (このIDを非表示/違反報告)
廻り - いつも楽しく読んでます!!生存予想とても楽しいです。主戦力が残ってますね…!でもまさかあそこでホビットが…脱出したりするのに必要になりそうだな、とか思ったりしたのですが、とても意外な人でした、楽しい。生存キャラ残り少ないですがもっと続いて欲しい…… (2020年9月27日 2時) (レス) id: db0db57d74 (このIDを非表示/違反報告)
わたうさ@火星人☆(プロフ) - ダリアさん» 読んで頂きありがとうございます!!オシオキは序盤に全員分決めたまま設定を変えていないので、好きと言って頂けて嬉しいです…!!本当にのろのろ更新ですみません!頑張ります!! (2020年9月21日 18時) (レス) id: af7c01dafc (このIDを非表示/違反報告)
ダリア - 読ませて頂きました!オシオキめっちゃ好きです。メンバーにぴったりで続きが気になります…!わたうさ様のペースで頑張ってください。 (2020年9月21日 15時) (レス) id: 39bf6c1775 (このIDを非表示/違反報告)
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