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044 真っ暗闇に堕ちていく。 ページ44

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分からなくなっていた。




Aの考える事、


感じているもの、


時折見せる悲しい顔の意味。





歯車は少しずつ噛み合わなくなって、


鮮明に見えていた世界は真っ黒に塗り潰されていた。





この頃きっと既にAも俺の事が分からなくなっていたんだと思う。



否、俺は『分からなくなっていた』んじゃなくて、『見えなくなっていた』んだ。


それと同時にそんな俺がAは『分からなくなっていた』。



俺にはゆうくんしか見えていなくて、


Aならそんな俺を許してくれるだろう、


そんな酷く冷たい信頼さえ寄せていた。




Knightsを守ろうとしてくれたAなら、


弱虫の俺を幸せにしてくれると言った強い君なら、


きっと大丈夫だって甘えてしまっていた。




――Aが強がりなんだって気付けないまま。









険悪な雰囲気を漂わせながら、


くまくんと俺は黙々と練習メニューを消化していく。




くまくんは何でもない様な表情をしているけれど、

俺はくまくんの言葉が大きなしこりとなって心を支配していた。




『……セッちゃんは何も分かってないよねぇ』



……どういう意味?


少なくとも俺はAの事くまくんより理解している気でいるし、


Aも俺に不満をぶつけてきた事なんて無い。




「ねぇ、くまく……」


「遅いね、A」



俺が言葉の真意を確かめようと口を開いた途端、くまくんは俺の言葉を遮る様に言葉を放った。



言葉を放つくまくんの目はいつもよりも紅く滲んでいるように見えて少しだけ恐ろしく見えた。


遠回しに迎えに行け、と言われている様な気分だった。



俺は何も言わずに部屋を出て行く。



背中にくまくんの冷たい視線が刺さっている様に感じられて吐き気がした。







校内を走り回りようやく見つけた教室でAは机に顔を伏せていた。



心配する俺を他所に『大丈夫だと』笑うAの姿に思わず息が止まった。




……あれ?Aの笑った顔ってこんな風だっけ。




言い知れない不安の様などろりとした気持ちが心を埋め尽くす。


それはまるでれおくんの時と同じで、ぐらりと世界が揺れた。





気付けなくなっていた。




Aの涙の痕にも、


歪な笑顔にも、


その裏に隠された本当の気持ちにも。




否、気付かないフリをしていた。



背中に後ろを歩くAの俺を恨む視線が突き刺さっている様に感じられて全身の血液が凍り付いた様に感じた。





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とまと。(プロフ) - はるなさん» そう言って頂ける方と出会う事が出来、感無量です…!私には勿体無い言葉の数々を有難うございます、最後までお付き合いして頂けると嬉しいです。 (2017年5月9日 22時) (レス) id: 5b7907730c (このIDを非表示/違反報告)
とまと。(プロフ) - 聖泉さん» そんな嬉しい言葉を掛けて頂いたのは初めてです…!最後まで感動して頂けるように頑張ります。 (2017年5月9日 22時) (レス) id: 5b7907730c (このIDを非表示/違反報告)
はるな(プロフ) - この物語、本当に好きです!このお話と出会えて良かった!続き楽しみにしています。頑張ってください!! (2017年5月8日 23時) (レス) id: 651f5172c0 (このIDを非表示/違反報告)
聖泉 - とまと。さん» 感動しました。このお話を読んでいてよかったです(^^) (2017年5月7日 23時) (レス) id: b0c24886c2 (このIDを非表示/違反報告)
とまと。(プロフ) - 聖泉さん» まだまだ完結まで時間の掛かる2人ですがゆっくり温かい目で見てあげてください…!応援有難うございます(*^^*) (2017年4月15日 14時) (レス) id: efe978ed57 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:えはら | 作成日時:2016年12月7日 19時

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