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034 それが貴方の幸せ。 ページ34

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古びた街灯のジジジ、という音だけが聞こえる。



静かな静かな夜の世界。





先程までは必死になって言葉を紡いでいたが、ふと冷静になってみるとかなり恥ずかしい状況だと理解する。



瀬名の為とは言え、相手は自分が恋心を寄せている人。



その場の流れで偶然とは言えそんな相手を抱き締めている事は幸せ、と言うより恥ずかしさが大きく上回っていた。





「……ご、ごめん、抱き締めたりして……」



心臓が大きく鳴って、顔に熱が集まるのを感じながら徐々に小さくなっていく言葉を紡ぎきる。



「……」



だけど瀬名は何も言葉を発さず、ただ俯いているだけだった。



そんな瀬名を不思議に思い再び言葉を発そうと口を開きかけた途端、


「……ねぇ」


掠れた瀬名の声が放たれた。



少しだけ跳ねた心臓を抑えながら極力平然を装いながら返事を返す。




「ん?」


「アンタさ、“俺の幸せがアンタの幸せ”だって言ったよね?


……だったら叶えてよ、それ。」




響く瀬名の声は何処か緊張しているように思えた。




「……いいけど、私に叶えられる事なら叶えるよ」



その緊張が移った様に私の声も緊張を帯びる。




Knightsの事とかかな……?



そう思っていると瀬名の手が私の頬に添えられる。




「……Aにしか叶えられない事」


「うん……それって何?」




真剣な色を帯びた目に捕えられた瞬間、何故か私の心臓は大きく騒ぎ出す。






「……笑ってて。



俺の隣でずっと笑ってて欲しい。」




その言葉は私の胸にすっと入り込んで甘く溶けていった。



暗がりでも分かるくらい頬を赤く染めた瀬名の顔をとても愛しく感じた。




「俺の側で、ずっと俺だけの為にその笑顔を見せて」




その言葉の意味を、意味の先にある言葉を聞きたくて、私は逸る気持ちを抑えながら聞き返す。





「……それって?」




私の問いかけに言い出しにくそうに口を小さく開閉させた後、


瀬名は決意した様子で再び私の方を真っ直ぐ見た。





「――……Aの事が好きだ、って事



……ちょっとは察しなよねぇ」





瀬名は照れ臭そうに文句を言ったけれど私にはその言葉は耳に入らなかった。



嬉しくて、ただ嬉しくて、


そして幸せで。





私はまたぼろぼろと涙を流してしまった。





瀬名が好きで好きで仕方が無くて、


ただそれが私の心を幸せで満たしていた。





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とまと。(プロフ) - はるなさん» そう言って頂ける方と出会う事が出来、感無量です…!私には勿体無い言葉の数々を有難うございます、最後までお付き合いして頂けると嬉しいです。 (2017年5月9日 22時) (レス) id: 5b7907730c (このIDを非表示/違反報告)
とまと。(プロフ) - 聖泉さん» そんな嬉しい言葉を掛けて頂いたのは初めてです…!最後まで感動して頂けるように頑張ります。 (2017年5月9日 22時) (レス) id: 5b7907730c (このIDを非表示/違反報告)
はるな(プロフ) - この物語、本当に好きです!このお話と出会えて良かった!続き楽しみにしています。頑張ってください!! (2017年5月8日 23時) (レス) id: 651f5172c0 (このIDを非表示/違反報告)
聖泉 - とまと。さん» 感動しました。このお話を読んでいてよかったです(^^) (2017年5月7日 23時) (レス) id: b0c24886c2 (このIDを非表示/違反報告)
とまと。(プロフ) - 聖泉さん» まだまだ完結まで時間の掛かる2人ですがゆっくり温かい目で見てあげてください…!応援有難うございます(*^^*) (2017年4月15日 14時) (レス) id: efe978ed57 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:えはら | 作成日時:2016年12月7日 19時

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