033 それが私の幸せ。 ページ33
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瀬名の口から零れた優しい囁きは私の逃げ道を示してくれていた。
瀬名は私がもう辛い思いをしない様に、そう思って別の選択肢を与えてくれたのに、
私はその言葉が胸に突き刺さって更に苦しくなった。
瀬名の言葉通りにした方が私も楽になれる、
今よりずっと笑っていられる、
それは分かっているのに。
瞼の裏にはレオが壊れてしまった日のステージが、辛いからと皆から目を背けてしまったあの日の後悔が焼き付いていた。
あんな思いはもうしたくない。
大切な物が壊れてから後悔するなんて、
過去と同じ過ちを繰り返すなんてもう嫌だ。
｢……私はKnightsがもう1回、輝くのを見たい。
昔みたいに笑ってる3人の顔が見たい。
……――瀬名の、幸せそうな笑顔が見たい。｣
緩みきった涙腺が再び熱を帯びる。
泣きそうになるのを誤魔化す様に瀬名の腕から抜け出し、真っ直ぐ瀬名の目を見る。
少しだけ、瀬名の青い瞳が揺れるのを見た。
｢……っ、俺も、大切なアイツらの笑った顔が見たいよ
でもそれと同じくらいAの笑った顔も見たいから――｣
｢私は瀬名達と居られるだけで笑顔になれる
だから、一緒に隣を歩かせて｣
先程とは立場が逆になったかの様に今度は瀬名の顔が歪んでいく。
片手で目元を覆い、俯きながら震えた涙声で瀬名は言葉を紡いだ。
｢……俺達と居たら、Aは幸せになれないでしょ……｣
覆った手の指の隙間からは小さな雫が伝う。
私は1歩、瀬名の方に近付く。
それに反応する様に瀬名の体は小さく、ビクリと震えた。
ずっと独りで戦う貴方に寄り添いたかった。
辛さも痛みも分け合えるように抱き締めたかった。
涙を流す貴方に手を伸ばしたかった。
私は自分よりずっと大きな瀬名の体を精一杯抱き締めた。
私はずっと貴方にこうしてあげたかった。
どんどん遠くなってしまった貴方の背中。
その背中には沢山の重圧と後悔と痛みが積み重なっていると知っていたのに。
悲しみに押し潰されて消えそうな貴方をずっとこうやって抱き締めてあげたかった。
｢……私の幸せはね、瀬名が笑ってる事だから
瀬名の幸せが私の幸せだから。
――どうか、笑っていて｣
薄暗い世界で街灯の光が私達を優しく、静かに包み込んでいた。
私の言葉に瀬名はまた少しだけ泣いて小さく笑った。
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とまと。(プロフ) - はるなさん» そう言って頂ける方と出会う事が出来、感無量です…!私には勿体無い言葉の数々を有難うございます、最後までお付き合いして頂けると嬉しいです。 (2017年5月9日 22時) (
レス) id: 5b7907730c (このIDを非表示/違反報告)
とまと。(プロフ) - 聖泉さん» そんな嬉しい言葉を掛けて頂いたのは初めてです…!最後まで感動して頂けるように頑張ります。 (2017年5月9日 22時) (レス) id: 5b7907730c (このIDを非表示/違反報告)
はるな(プロフ) - この物語、本当に好きです！このお話と出会えて良かった！続き楽しみにしています。頑張ってください!! (2017年5月8日 23時) (レス) id: 651f5172c0 (このIDを非表示/違反報告)
聖泉 - とまと。さん» 感動しました。このお話を読んでいてよかったです(^^) (2017年5月7日 23時) (レス) id: b0c24886c2 (このIDを非表示/違反報告)
とまと。(プロフ) - 聖泉さん» まだまだ完結まで時間の掛かる2人ですがゆっくり温かい目で見てあげてください…!応援有難うございます(*^^*) (2017年4月15日 14時) (レス) id: efe978ed57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えはら | 作成日時：2016年12月7日 19時
