025 柔らかなメロディ。 ページ25
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小さなイヤホンのスピーカーから流れる音は
ノイズが混ざってるしピアノだって練習不足が伺える音色だし
何よりちぐはぐで不格好で粗末な音色は聴くに耐えない位酷いものだった。
それなのに粗末な音色は胸を締め付ける程甘く優しい音色で
柔らかなメロディはKnightsの――俺達の幸せだった日々を思い出させた。
気が付けば視界は歪んで、
頬を温かな雫が伝っていく。
すぐに分かった。
これがれおくんの『最後の曲』なんだって事。
今までで1番れおくんの気持ちが込もった曲なんだって事。
そしてくまくんが俺に聴かせる為にピアノを弾いた事。
俺は人目なんて気にする余裕も無く無様にただ涙を流し続けた。
そんな時だった、Aと会ったのは。
泣いている姿なんて見られたくなかったのに。
それでも涙は止まらなかった。
Aはそんな俺を見て笑う訳でもなく、
ただ優しい目で俺の言葉を待った。
久しぶりに感じたその温もりが愛しくて、
優しさに胸がきゅうっと苦しくなって、
また涙が溢れるのを感じた。
｢……レオの『最後の曲』…?｣
ようやく落ち着いて話せる様になった俺はAにれおくんと会って話した事を伝えた。
Aは驚いた様に目を丸くさせた。
｢そ、くまくんがピアノで弾いたのを勝手に入れられてたらしくて
……はい、Aも聴いてみたら?｣
俺はイヤホンをAに手渡す。
｢……え、私が聴いてもいいの?｣
｢……れおくんはAも俺達の仲間だって思ってる筈だから。
Aにもこの曲を聴いて欲しいって思ってる筈だから、聴いてあげてよ｣
そう言うとAは悲しそうに、だけど嬉しそうに笑った。
Aがイヤホンを耳に当てたのを確認して、
カチリと再生ボタンを押す。
Aは目を閉じて曲に聴き入っている様子だったけれど、
ふと、ぽつりと言葉を呟いた。
｢優しくて、柔らかくて――……
Knightsの皆みたいな曲だね｣
その言葉を聞いて俺は思わず息を飲み込んだ。
｢……綺麗な曲｣
そう言うAの横顔は何処か悲しげで、
きっと俺と同じ事を感じたんだと思った。
Aが最後まで紡げなかった言葉を俺は真っ暗な空に向かって呟いた。
｢……綺麗な曲なのに、悲しい曲だよねぇ｣
暗い空で弱々しく光る星がまるでれおくんみたいで
俺はすん、と小さく鼻を啜った。
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とまと。(プロフ) - はるなさん» そう言って頂ける方と出会う事が出来、感無量です…!私には勿体無い言葉の数々を有難うございます、最後までお付き合いして頂けると嬉しいです。 (2017年5月9日 22時) (
レス) id: 5b7907730c (このIDを非表示/違反報告)
とまと。(プロフ) - 聖泉さん» そんな嬉しい言葉を掛けて頂いたのは初めてです…!最後まで感動して頂けるように頑張ります。 (2017年5月9日 22時) (レス) id: 5b7907730c (このIDを非表示/違反報告)
はるな(プロフ) - この物語、本当に好きです！このお話と出会えて良かった！続き楽しみにしています。頑張ってください!! (2017年5月8日 23時) (レス) id: 651f5172c0 (このIDを非表示/違反報告)
聖泉 - とまと。さん» 感動しました。このお話を読んでいてよかったです(^^) (2017年5月7日 23時) (レス) id: b0c24886c2 (このIDを非表示/違反報告)
とまと。(プロフ) - 聖泉さん» まだまだ完結まで時間の掛かる2人ですがゆっくり温かい目で見てあげてください…!応援有難うございます(*^^*) (2017年4月15日 14時) (レス) id: efe978ed57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えはら | 作成日時：2016年12月7日 19時
