【瀬名 泉】貴方にさよならと言いましょう。

012 繰り返した先に。 ページ12

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それから私達は戦い続けた。





何回も何回も繰り返した。





何回も何回も傷付き、敗れ、倒れてきた。





その度に何度でも這い上がり続けた。








――だけどもう、Knightsは限界だった。




戦いの度にすり減らされていく精神。



少しずつKnightsは『皇帝』に飲み込まれていった。





それでも負けないと剣を掲げる彼らを



私は見ていられなくて、目を背けてしまった。





そうしてとうとう、Knightsは壊れてしまった。





私はこの日の事をこの先ずっと忘れる事が出来ないだろう。





心の奥に、頭のずっと奥に、



こびり付いて離れない。




夢の中でこの光景を何度も繰り返して、



何度も後悔していくのだろう。









この日のKnightsは静かだった。




『皇帝』と何度も戦いを繰り返して多分皆心の底で『今回も勝てない』のだと悟ってしまったのだと思う。





それでも王さまは……レオは笑顔を浮かべていた。





｢……おれさ、お前らと一緒に戦えて楽しかったよ｣




本番5分前に紡がれたのはそんなレオの言葉。




まるでレオが消えてしまう様な別れの言葉に皆戸惑いの色を隠せなかった。





それでもレオは言葉を紡ぎ続けた。





｢……セナ、リッツ、



『皇帝』を倒したいって言う俺の無謀な夢に付き合ってくれてありがとうな



お前らと過ごしたKnightsは俺にとって忘れられない青春の時間だ。





俺と同じ夢を見てくれてありがとう





おれの騎士達はやっぱり最高だな｣





そう言って無邪気に笑うレオはきっとこの戦いの結末が見えていたんだと思う。





誰も彼に声を掛けられなかった。



レオの背中は大きくて、頼もしくて、



だけど同時に寂しそうに見えた。









敗れ、綻び、折れた剣はそれでも立ち上がろうとした。




血に塗れ、歯を食い縛りながら、


Knightsの王さまは騎士達を守る為に自身を犠牲にした。






『皇帝』への歓声に包まれながらレオの目が一瞬瀬名と凛月の方を向く。




｢……ありがとうな、大事な俺の騎士達｣




騒音ではっきりと聞き取れはしなかったけど、


レオは多分そう呟いた。





ゆっくりと倒れていくレオがやけにスローモーションに見えた。




｢……Knightsの事、よろしくな、A｣




最後に笑ったレオの顔は弱々しくて、



彼の言葉は勝者への祝福の声に飲み込まれて消えていった。







――これが騎士達の愛した王さまの最期だった。





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