【オリジナル】たいせつなひと (ページ29)

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今日あったことを、全て彼に話した

今までの苦しさも全部

彼は静かに

真剣に聞いてくれた

私は泣きながら

うまく言葉にできなくても

一生懸命彼に伝えた

「私ね、先生に言われたの

仲間を信じていないって

仲間を作れって

でも、そんな簡単にはできないよ」

彼は少し考えていた

いや、興味がなく黙っていたのかもしれない

でも、笑っていた

微笑んでいたのか、

目が涙で霞んでよくわからない

でも、彼の優しい顔が想像できた

「それで、俺の所に逃げてきたの？」

「逃げたんじゃない

頼りにきたの」

「一緒だよ」

「一緒じゃない」

「生徒会の奴らじゃダメだから

俺の所に来たんだろ」

そう言われればそうな気がした

私は仲間と向き合うことから逃げたのかもしれない

でも、今は、

彼といたかった

「言ったじゃん、俺

お前が一番大切だって

今もそう思ってる

だから、俺から離れたいと思ったお前に合わせて

俺はお前から離れた

ワガママすぎなんじゃねーの」

そういう彼の目はとても冷たかった

もう、私と関わりたくないと

近寄るなと

警告しているような目だった

「私には蒼琉しかいないの！」

負けちゃいけないと思った

ここで負けたら、

もう一生彼と話せない気がした

今までの後悔とは全く別の

もっともっと苦しい、辛い、

そんな後悔をすると思った