私は救世主(仮)でした。

第七十一話 ページ21

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第七十一話
【犬猿な二人】

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自らの幻影を呼び出し、食満先輩の脳内に語りかけるように命じる。

「なにッ……? 幻影……!?」

すると、後ろに勢いよく振り向く食満先輩。
鉄双節棍を避け、そのまま後ろから先程装備した武器で軽く引っ掻いてやる。


振り返り様の鉄双節棍をしゃがんで回避し、猛攻に耐え続けていくうちに、食満先輩の動きが鈍っていく。


……実は、さっき引っ掻いた武器の先端に痺れ薬を塗っておいたんだ。


完全に食満先輩の動きが止まったところで、ちょうど試合終了の鐘が鳴り響く。



「見事だ! やるじゃないか、真島伊織!」


先輩の様子を見るに、もう正気に戻っているらしい。
保健委員を呼ぶと、食満先輩は私に後で話があるとのことだった。


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「なるほど、そういう事だったんですね……」

実は戦う前から、もう既に正気に戻っていたらしかった。
……何で気づかなかったんだろう……だからといって負けるわけにはいかなかったんだけど。


食満先輩達は鍛錬を通じて鍛錬を怠っていたと思い出し、天女様に傾倒していたことを実感していたけども、
喧嘩が止まる訳もなく大会で決着を付けようとしていたという。


「はぁ……」

そういった説明を受けていたところ、三郎と潮江先輩という不可思議な二人組がやって来た。


……あ、いや。そういえば二人は対戦相手だった。

どうやら三郎が勝ったようで、潮江先輩は一生で一度見るか見ないかも分からないほどの落ち込みようだ。


「……お前も負けたのか」
「……ああ」

「よし、明日から委員会に鍛錬だーッ!」

「なっ、俺だって!」


……一瞬傷の舐め合いがはじまったかと思えば、やっぱり犬猿は犬猿のままらしい。

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