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バンッと大きな音が響いて、ある部屋に遠慮も無しにズカズカと踏み込んでくる女は、手に持った書類を目の前の男に突き出した。
「誤字脱字が多い!何度云えば分かるの!赤ペン先生でも手に負えない位よ!」
「へーへー。」
「話聞いてる!?」
「どうせ手前が直してくれんだろ。」
「貴方ねェ!いい加減に自覚しなさいよ!五大幹部ともあろう者が、こんなミスを立て続けに…!此方は此方で大変なの!」
「…別に手前の仕事が楽とは云ってねェって。」
「そう思ってくれるならもう一度見直す工程を増やしなさい!何時まで私に書類整理を助けて貰うつもり!?」
そう尋ねると、男は女から少し視線を逸らして、一生でもいいかもな、なんて言葉にする。
だが女はそんなの御免だ。
少し注意深くすれば減らせるミスを男は見直すという工程を加えない。むしろ態と誤字、脱字を行っている時すらあるのだから尚、質が悪い。
「さっさと直して持ってきて。提出期限は変わらないわよ。」
「は?一寸待て!期限って、今日じゃねェか!俺は今日は外に出る用事が…!」
「知らないわよ。恨むなら日頃からミスをしている自分を恨む事ね。」
云うだけ云って、書類を叩き付けて部屋を出た女。
残された男は書類を見て頭を抱えた。
しかし、
「はあ、怒ってンのも可愛い…。」
男は女に惚れていた。
これらが、男が態とミスをおかしている理由。ミスをしていればいずれ女が男に文句を云いに来る。
そんな機会を作る、健気な一面が男にはあった。
前述の数年後の二人である。
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作者名:汎用うさぎ | 作成日時:2024年2月5日 20時