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一人の女性の前に立つ少女と新しく組織に加入した少年が対面していた。
少女は黒髪の長髪を高く結い上げて、女性と似た簪を身に着けている。
少年は帽子を被り、真新しい服を身に纏い、まだ服に着せられている幼さを感じさせている。
「私の義妹のAじゃ。書類整理諸々の仕方はAから習うと善い。」
「…。」
「A。新しく組織に加入した中也じゃ。仲良くのう。」
「…。」
「二人共警戒心の塊じゃな。」
Aと呼ばれた少女と中也と呼ばれた少年の視線は交わるものの、互いに言葉は発さない。
そんな二人を見てくつくつ笑う女性。尾崎紅葉。
「これ、二人共挨拶位せぬか。」
「どうも。」
「ども…。」
「全く…。これから如何なる事か…。」
深く息を吐く紅葉は額に手を当てる。
「姉さん、もう行ってもいい?」
「私が云った事は覚えておるか。」
「……。」
Aは中也に視線を移す。
じっと見つめてくる目に、中也は少したじろぐ。
ついてきて。
そう云った直後に背を向けて歩き出す背中を慌てて追い掛ける中也。
並んで歩く二人を見て紅葉は思う。
「なかなか善いコンビかもしれぬ。先が楽しみじゃ。」
紅葉の口元は弧を描いていた。
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作者名:汎用うさぎ | 作成日時:2024年2月5日 20時