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私は一体何をしてるんだろう…。
「ご、御用件をお伺いします…。」
「もっと笑顔で声を上げて!」
「御用件をお伺いします!」
「声が張りすぎ!肩の力を抜いて!」
「御用件をお伺いします。」
「棒読み!」
私は只今、相手組織側の受付嬢役をしていた。
何度も梶井さんにダメ出しをされて、少し離れた場所では中原幹部が書類と向き合いながら肩を揺らしている。
「中也殿、彼女は無理です。」
「ぶはっ!」
梶井さんには呆れられ中原幹部には容赦なく笑われて少し心が痛む。
太宰君にも演技が下手だと云われたけどそこまで酷いのだろうか…。普通にへこむ。
「そんなに、酷いですか…。」
「酷いっつうか大根?」
大根とは大根役者の事で、酷いという言葉と大差ない。
私は何をやっても上手くいかない…。
落ち込む私を他所に梶井さんは元気に実験の成功率を上げる為に再び実験室に篭もると云って出て行った。
まるで嵐のような人だった。
「橘、早速で悪いが此れ頼む。」
「はい…。」
資料と書類を受け取る。
「橘。」
「はい…?」
「…気ィ悪くした、よな。すまん。」
「え…。あ、いや、少し落ち込みはしましたけど謝られる程では!」
幹部は顔を逸らしてほんの少しホッとした表情を見せた。
仕事に取り掛かりますと声を掛けて踵を返すが、腕を取られて動きが止まる。
「嫌な事は嫌って云ってくれ…。」
お前の気持ち、分かンねェから…。
そう小さく呟く彼の表情は何処か不安げだった。
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陽奈(プロフ) - やばいやばいやばいやばいです!!!!中原幹部も橘ちゃんも愛おしすぎて辛いです!!!!!!🥹 (3月17日 20時) (レス) @page46 id: c0bc1d8a43 (このIDを非表示/違反報告)
琉菜(プロフ) - 赤面しすぎて、キュンキュンしすぎて苦しいです、笑。かっこいいだけじゃなくて、可愛い中也さん……最高でした! (1月31日 4時) (レス) id: 130df2b699 (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - 今リアルの方が色々しんどくて嫌になりながら占ツク開いて主様のお話読んでたらもうこっちの世界幸せすぎて涙出てきました🥲素敵なお話ありがとうございます😭😭 (1月22日 19時) (レス) @page41 id: c0bc1d8a43 (このIDを非表示/違反報告)
黒蜜おもち - この小説見て中也すきになりました。やばい。これ以上推しを増やしていいのだろうか… (1月4日 19時) (レス) @page7 id: 536ced7b0d (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - あの、、なんかもう今年始まったばっかりだけど、1年分のキュンキュン使い果たした気がします😇💗 (1月4日 0時) (レス) @page32 id: c0bc1d8a43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:汎用うさぎ | 作成日時:2023年12月9日 20時