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「太宰君太宰君!クレープ!」
「太るよ。体重増えたって云ってなかった?」
「はっ!」
中原君に振られて一週間。
この一週間は勿論、無断欠勤である。
泣き疲れて寝て、目が覚めたら目の前には優しく微笑む太宰君が居た。それがなんだか凄く嬉しくて、また泣きそうになった。
そして横浜を出る前に最後のお願いとしてこの横浜での思い出を作りたいと彼に云うと笑って了承してくれた。
それが今日が最終日。
私は今日が終われば…、
「太宰君!何か欲しい物無い?」
「心中相手。」
「ふふ、何時になったら見つかるかな。」
優しく微笑む彼が私に手を差し出した。
私はその手に自分の手を重ね、彼に引かれるまま横浜を回った。
一つのお店で商品を吟味して商品を手に取り会計し、外で待ってもらっていた太宰君に声を掛けようとした。
けれど、近付いて気づいた。
如何して…、その言葉が頭に浮かんだ。
「Aちゃん、いい物あった?」
「…、うん。」
太宰君の隣に立っている彼は私を見て舌打ちを決める。
ぎゅ、と買った品が入った袋を握り締め、太宰君に押し付けた。
「此れ!受け取って!この、一週間の御礼…。凄く、楽しかった、から…。」
「Aちゃん…。」
「…さよなら。」
忘れていた胸の痛みがズキズキと蘇る。
走って走って、ただ走った。
立ち止まって顔を上げれば、二度と見たくなかったものが大きく私の前を立ち塞ぐ。
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鈴神(プロフ) - 本当に本当に今読ませて頂いてる唯一の夢小説ですが情報過多すぎて、、このお話に激重感情抱いてます、、二人が幸せになりますように。 (11月23日 20時) (レス) id: c20e30a6a0 (このIDを非表示/違反報告)
そこら辺の壁(プロフ) - 初コメ失礼します!中也さんイケメンとキャッキャしてたら、まさかの展開でビックリです……!これからどうなっちゃうの〜〜!?という気持ちがいっぱい過ぎて……。主様のペースで更新頑張って下さい!楽しみにしています! (11月23日 20時) (レス) @page32 id: 1836c9208c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:汎用うさぎ | 作成日時:2023年11月10日 12時