【文スト】異能《眠り姫》8 (ページ30)

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379話ページ30

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二人から解放された俺はソファに腰を下ろして珈琲を飲む。

隣にはAを座らせて逃げられないよう腰に手を回した。

「一から説明しやがれ。」

俺の要求にAがボソボソと話始める。

要はその御曹司が面倒なストーカーに付きまとわれているから恋人(仮)がいる事を伝えて諦めてもらいたいという依頼でAの名前が上がった。

しかし、こんな依頼は俺に報告が必要、絶対に許されない、後でバレたら怒られるとAは拒否。

懸命な判断だ。

それなら女医や鏡花がいるだろうと云う俺に、女医は出張、鏡花はまだ未成年という事でAしかいなくなった。

「そこで私が提案したのだよ。ならば中也に女装させればいいって。」

「なんでだよ。」

「Aちゃんは許してくれたよ？」

「は？」

「だって、その…中也の女装見たいな、なんて…。」

人差し指をつんつんと合わせる仕草は可愛いが、旦那に女装させようとする嫁がどこにいンだよ。

「絶対ェやらねェ。」

「じゃあAちゃんが恋人役、許してくれる？」

「……。」

「恋人って位だから手を繋いだりするんだろうね。あ、見せつけるならキスしてもおかしくはないかなあ。」

「…。」

「プライドをとる？それともAちゃんをとる？」

太宰の言葉は確かに俺の重りになっている。

もし俺以外の男と手を繋いだり、況してやキスなんかしてたら俺はそいつを殺す。

悩んだ挙げ句、出した答え。

「やってやろうじゃねェかッ！！！俺の女には指一本も触れさせねェッッ！！！」

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