364話 ページ15
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三崎さんは私達に背を向けて歩いて行った。
そんな彼女の背中は寂しそうで…。
「…悪いな、行こうぜ。」
「うん…。」
手を繋がれるも私の意識は三崎さんにあった。
握られた手に力を込めて中也と目を合わせた。
「三崎さんの所に行って。」
「は？何云ってンだ。俺は、」
「悪いと思ってるんでしょう？」
「…。」
「三崎さんが他の人の所に行ってしまったのは少なくとも、自分の責任でもあるって…。」
繋がれていない手で服を握り締める。
こうでもしないと、やっぱり行かないでと腕をとってしまいそうだから。
「中也のそういう真面目なとこ、情が深いところ大好きよ。だから、行ったら…戻ってきて。」
「A、俺は…。」
「きっと寂しかっただけなの。中也の気を引きたくて、でもそれが悪い方に向いてしまって…。中也は前を向いてるのに、自分だけが後ろばかり見てる。それって、かなり辛いのよ…。」
私も経験した。
治は織田作君に道を示してもらって前を歩いていた。
けれど私は過去を引きずって前に目を向けられない、向けるのが怖かった。
「…俺が愛してンのはAだけだ。」
「知ってるわ。」
「直ぐ終わらせる。」
「ええ…、待ってる。」
そう云って中也は三崎さんを追いかけた。
とす、と共有の椅子に腰を下ろして長く息を吐いた私に年配の女性が、頑張ったわねと優しく手を包んでくれた。
少し泣きそうになった。
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黒崎百合(プロフ) - 続き、きになります！楽しみです！ (8月25日 11時) (
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作者名：汎用うさぎ
| 作成日時：2023年7月19日 14時
