93話 ページ44
.
お昼の時間になり、未だ寝ている太宰を揺らして起こせば、ぐっと伸びをする男に呆れのため息を溢した。
「もうお昼よ。どうするの。」
「よし、少し歩こう。」
私が施した髪のまま外に出ようとするから、思わず吹き出してしまった。
太宰は目を丸くして、ああ!これ?と私が結った髪を指差してゴムを外せば元通りの髪型の太宰。
「気付いてたの?」
「まあね。あと、敦君がこっそりと教えてくれた。」
「敦君!?」
「はい!ごめんなさい!」
まーまー、と私を宥めながら背中を押してくる太宰。
敦君にじとっとした目を向けると私から目を逸らす。
彼は恐らく私を怖がっている。龍ちゃんの事で少し怖がらせ過ぎてしまったのかもしれない。
怖がらせてごめんねと謝れば、はい!いいえ!と返されて、え、どっち?と返す。
何があったのか気になる太宰にはちょっとねと誤魔化す。
「それよりお昼に行くんでしょう?」
「そうだった!これからAちゃんとの逢い引きだったね、失敬!」
「逢い引きでは無いかな?」
「食事は立派な逢い引きだよ〜。」
敦君からの行ってらっしゃいに手を振って答えた。
.
33人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:汎用うさぎ | 作成日時:2023年4月25日 22時