72話 ページ23
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中也君、中原さんと喧嘩別れした翌日。仕事は勿論きっちりと終わらせて、私は待ち合わせ場所に走った。
既に待ち合わせ場所にはサングラスを掛け、腕時計で時間を気にしている私の可愛くて格好いい弟の姿があった。
「龍ちゃん!ごめん、待ったよね。」
「いえ、今来た処です。すみません、疲れてるのに呼び出してしまって…。」
「そんな事ないよ。銀ちゃんは?やっぱりお仕事?」
「はい。佳境だそうで。」
「残念。」
昨夜、龍ちゃんからあった電話の内容は明日の夜、時間が空きそうだから銀ちゃんも誘って食事に行こうという話。
私は二つ返事でOKを出したが、銀ちゃんは仕事がどうなるか分からないから、無理そうなら二人で行ってくれとの事。
「じゃあ行こっか!龍ちゃんのお勧め!」
「…美味なはず、です。」
「ふふ、龍ちゃんと一緒に食べるのだから美味しいに決まっているわ。」
食事を誘われた際、龍ちゃんのお勧めの処がいいと云ったのだが、調べますと云って終わったのだ。
龍ちゃんの腕に抱きついてお店までの道を楽しく談笑しながら歩いていると、
「そこの女ァ!!芥川先輩から離れろ!!」
大きな声が後ろから聞こえて立ち止まり振り向く。
女性は息を切らし、私に銃口を向ける。
「おい樋口、一人で何突っ走ってんだ!!つか銃仕舞え!!」
「そうっスよ、姐さん!」
樋口と呼ばれる女性の後ろから二人が彼女を追ってきた様子だが、その内の一人にはあまり会いたくなかった。
何故なら、私を捉えた瞬間、今にも殺しそうな目をしているから。
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作者名:汎用うさぎ | 作成日時:2023年4月25日 22時