第三十六話 ページ37
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阿伏兎side
「よォ、団長。随分と大人しくなったじゃねェの。いつもは嬢ちゃんの顔見たら盛ってたくせになァ。」
「お前には関係ないだろ。」
「だがなァ…。」
「て、言った。Aは悪くない。」
あらあら。
思ったよりきちゃってる感じ?
戦場で生きてた兎が、寄り添える場所を見つけちまったんだ。精神的に参ってんだろな。
「どうでもいいが、ちゃんと嬢ちゃんと仲直りしとけ。このまんまじゃ、他の男に取られてもしんねェぞ。」
「それは、嫌だネ。」
「え?」
思わず聞き返してしまった。
団長の口から嬢ちゃんを取られるのが嫌だ、とはっきり聞いたのは初めてだったから。
「だ、団長。まさか嬢ちゃんに惚れ…。」
俺の発した言葉とほぼ同時にバンッという音が部屋に響いた。
顔スレスレにめり込んだ銃弾。
「うるさい。殺すよ。」
「お、おお。すまん。気付いてたのね。」
「何。俺が鈍感だって言いたいの。」
「滅相もない。」
珍しく顔を赤くさせた団長。
気付くのおせェな。
ま、まだまだひよっこな団長には大きな進歩だと俺は思いたいねェ。
「A、絶対俺の事嫌いになった。」
「そりゃ、そうだろ。」
バンッと再び音がして、さっきとは反対の顔スレスレに銃弾がめり込んだ。
何?否定して欲しかったの?
おじさん、そこんところ分かんないなァ。
「まあ、それは嬢ちゃんに聞いてみるこった。」
「……阿伏兎が聞いてきてよ。」
「自分で行け。」
ヘタレとなってしまった団長に、どうにかしてケツを叩いてやりたいのが山々だが、本当に叩いてしまえば俺の命はない。
だから、おじさんには背中を押す事しかできねェ。
「嬢ちゃんなら今、高杉の旦那といるだろうな。」
「シンスケか…。」
ポツリと呟いた団長。
そして俺は次に発した団長の言葉に耳を疑った。
「Aは俺の事が好きって言ったじゃん。」
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ゆる - 面白かったです!!神威可愛いなー(ノ≧▽≦)ノ (2020年5月13日 11時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
りなりー - かわいい、カワイイ、カワ(・∀・)イイ!!キュンキュンしました。大好き! (2020年5月1日 1時) (レス) id: 6dff351985 (このIDを非表示/違反報告)
矮俚好 - うわ、うわ、うわ、うわ!(訳:最高!神!とりあえず……最高!)←伝われ(願望) (2018年1月11日 20時) (レス) id: a1d4539828 (このIDを非表示/違反報告)
雪兎(プロフ) - 面白かったよ、これからも頑張ってねー。(/・ω・)/ (2017年8月21日 5時) (レス) id: dd49ad89fc (このIDを非表示/違反報告)
汎用うさぎ(プロフ) - いちごミルクさん» 読んでいただき、ありがとうございました! (2017年8月3日 10時) (レス) id: 8e8f377fcc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:汎用うさぎ | 作成日時:2017年5月10日 22時