第三十四話 ページ35
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私の目の前には神威が座っていて、私なんか眼中に入ってません、とでも言うようにご飯に食らいついている。
私は、思っている事を伝えよう、そう思って口を開く。
「ね、ねぇ神威。私、また地球に行きたい、な。」
神威の様子をうかがいながら途切れ途切れに言う。
彼は動かしていた手を止めて、一言「嫌だ。別に用はないでしょ。」と言った。
「そ、そうだね。……ごめん。」
「謝る必要なんてあるの。」
「ごめん……。」
言って気付いた。
神威はテーブルにバンッと両手をついて、立ち上がる。
「……俺、もうお腹一杯になったから寝る。」
そう言って、食堂を出た。
嘘つき。
いつもならもっと食べるくせに。
「………美味しい。」
食事を再開し、ご飯を口に持っていく。
美味しい、はずなのに何も味がしない。
残せば作ってくれた人に迷惑だ、そう言い聞かせて他には何も考えず、ただ黙々と自分の分を食べ続けた。
「面が取り柄のお前が泣いてどうすんだよ。」
ドアの方から聞こえた声。
そちらに顔を向けるとキセルを持ち、着物を着流したシンスケ。
「シンスケ…。」
「久々に見た面が泣いた面とは、俺もめんどくせェ時に来ちまったみてェだ。」
ククッと笑ったシンスケは私にゆっくりと近寄って、さっきの言葉とは裏腹に優しく涙を拭った。
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ゆる - 面白かったです!!神威可愛いなー(ノ≧▽≦)ノ (2020年5月13日 11時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
りなりー - かわいい、カワイイ、カワ(・∀・)イイ!!キュンキュンしました。大好き! (2020年5月1日 1時) (レス) id: 6dff351985 (このIDを非表示/違反報告)
矮俚好 - うわ、うわ、うわ、うわ!(訳:最高!神!とりあえず……最高!)←伝われ(願望) (2018年1月11日 20時) (レス) id: a1d4539828 (このIDを非表示/違反報告)
雪兎(プロフ) - 面白かったよ、これからも頑張ってねー。(/・ω・)/ (2017年8月21日 5時) (レス) id: dd49ad89fc (このIDを非表示/違反報告)
汎用うさぎ(プロフ) - いちごミルクさん» 読んでいただき、ありがとうございました! (2017年8月3日 10時) (レス) id: 8e8f377fcc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:汎用うさぎ | 作成日時:2017年5月10日 22時