聖母が1人 ページ3
「……久しぶりに、来たなあ。夢ノ咲」
ポツリと呟きもんをマジマジと見つめる。
ここに来るのは約1年ぶりで暫くの間極一部を除く人以外の学院のみんなにも会うことは無かった。
久しぶりに見た夢ノ咲のアイドル科の校舎は大きくて思いの外迷いそうだ。
「いつまでそんな所に立っているのですか？」
暫くの間まじまじと校舎を眺めていると懐かしい声が僕の耳に入る。声の主の方を見るとそこには一年前までよくお世話になっていた先生の1人である椚君が立っていた。
「久しぶり、椚君」
「久しぶりですね。そしてその呼び方はやめなさいと言っているでしょう、花咲君」
そう言ってため息をつく彼はどこか嬉しそうで、クスリと笑ってしまう。彼ともう1人の教師とは昔モデルをしていて知り合った。
僕の性格のせいか、見ていると放っておけないらしくモデル時代はよくお世話になっていた。
「……貴方はなにも、変わってないようですね。
少し安心しました」
思わず笑ってしまった僕を見て安心したように微笑む椚君。そう言えば、いつも電話で陣君が言っていたっけ？
『あきやんが心配してたからたまには連絡しろよ』って。でも結局連絡することなく今の今まで過ごしていたもんね。そりゃあ心配するか。
「ごめんね？ でももう大丈夫だよ。ようやく今と向き合う決意ができたんだから」
僕等は歩き始める。そして歩いている時に色んなことを聞けた。
新しくプロデューサーの女の子が入った事。
ある生徒達が革命を起こしたこと。
僕と同じ時期に不登校になったレオ君がつい一ヶ月前に学校に来た事。
僕はただずっと聞いていただけだったけど、この学院が昔と変わった事が椚君の話を聞いていただけでよく分かった。
しばらく歩きながら話しているとピタリと椚君の足が止まる。
「ここが、貴方の教室です。皆さん貴方の事を待っていました。今日は存分に話なさい」
くしゃりと頭を撫でながら言う彼の声色は優しくて、僕はそれに応えるように笑顔で返事をした。
そして、何やら騒がしい教室の扉を開ける。
そこには懐かしい友人達の姿があった。
ーーーー久しぶり。皆。
さぁ、と風が吹く音がした気がした。
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クロりんご(プロフ) - 夕霧さん» コメントありがとうございます！はい！頑張ります！ (2018年8月7日 17時) (
レス) id: 738c9471c2 (このIDを非表示/違反報告)
夕霧 - とても面白かったです！これからも更新頑張って下さい！ (2018年8月7日 17時) (レス) id: 8fe2495ae6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロりんご
| 作成日時：2018年5月15日 21時
