情報屋【男主】

情報が三十五 ページ36

「調子に乗ったことを云うのもそこまでにしてもらおうか？」



長君は僕を嘲笑う
そんな長君を僕はただ笑顔で見つめている



「うん、[普通なら]こういう脅し方も正しいのかもね？」



でも____僕にこの脅し方はお勧めしないよ？
そんな意味をこめて、僕はナサニエル・ホーソーン君の異能に触れた



「なッ！？」


「！？……異能が、消えただと！？」



長君とナサニエル君の驚く声が静かな部屋に響く
嗚呼、異能が使える人間はこうもワンパターンの驚き方しかできないの？



久作君の時も同じ様な反応
林太郎君の時も、龍之介君の時も柳浪君の時も
み〜んなみんな、同じ反応



違う反応をしてくれたのは彼だけだ
僕の存在を、[僕自身]の正体を知っても尚、否定しなかったのは
僕はある一人の依頼主であり、大切な友人の姿を思い出す



「……何故、異能が効かない？」


長君が恐る恐る僕に質問する
そんな彼に対し、笑顔でこう応えた


「僕が君達とは違う存在だから。

君の組織にも一人いるでしょ？

異能じゃないモノを持っている子がさ」



長君は僕が発した言葉にピンと来たのか、黙り込む
黙り込む長君を追い込むように、僕はまた言葉を発した



「……虎君(人虎)の事を狙っているのは虎君が[本]の在処を示すタイガービートルだから。

そしてその本を探しているのは、本を使い今はもう亡き娘さんを生き返らせる為。

……違うかい？」





僕の言葉に長君は何故それを知っていると云いたそうにしている
いや〜……僕もこの情報はある依頼人兼、大切なお友達に教えてもらうまで全く知らなかったんだよね



なんせ急に大切な事だ〜とかなんとかって云って連絡してこいって云ってきて、連絡したら長君が虎君を狙っている理由を話してくれたんだもの
びっくりしたよ



「……まぁ？ 僕も今ならまだ許すよ？

さっさと帰ってくれたらの話だけど」



僕は話を変えるように云った
さっさと帰ってほしいのは事実だしね

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