情報屋【男主】

情報が三十四 ページ35

そして来たる翌日___
____の、その午後




「ふぁ……で、何の用かな？

顔合わせとかしないでいいと思ってたんだけど……。

僕はもう会うこともないと思ってたから」




僕は欠伸を噛み締めながら目の前に堂々と座っている組合の長君に云った




「『もう会うこともない』……か。

君はそう思っていても、俺は違う。

君を組合に勧誘しに来た」





……嗚呼、僕もう彼の性格分かっちゃった
そして僕が勧誘を断った時に何をするかも
これならまだ林太郎君の方がましな勧誘をするよ？
[まだ]だけど



「俺の勧誘を断ると？」




「うん。

[歳上にちゃんとした口の利き方もできない様なクソガキ]の部下になるのはゴメンだからね。

それと僕は[君が知っている人物の中で]一番歳上だから。

というかまず、現実と向き合えていない人の部下になるのはゴメンだ。

……いや、それは君の奥さんかな？」




『奥さん』という単語にわかりやすく反応をして、僕を睨んでくる長君
僕はそれでもなお笑みを浮かべていた





「人は遅かれ早かれいつかは死ぬものだよ。

君の娘さんはそれが早かっただけじゃないか。

早く死ぬのがサダメ(運命)だっただけじゃないか。

なのに何故？

何故、そんなにも嘆くのかい？

何故、たった一人の命が消えるだけで悲しむの？

何故____またもう一度一緒に暮らそうとするのかい？」






たった数人に置いていかれただけじゃないか
たった数人に取り残されただけじゃないか
たったそれだけの事なのに(・・・・・・・・・・・・)
何故____









たった一人の命が消えただけでそんなにも辛そうにするのかい?





僕のそんな疑問は、口に出さなかった。いや、出せなかった
だって長君の背後にいた眼鏡君___ナサニエル・ホーソーン君が僕の首元に鋭いもの(異能)を向けていたから
嗚呼、油断してたのかな？
そんなことを思いながら僕は口元に狐を描いた

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