情報屋【男主】

情報が二十つ ページ21

「おおい、網に何かかかったぞ！」






「人だ！！ 人が掛かってるぞ！」






川の方から叫び声が聞こえる
その声を聞き、中島達は第二の被害者かもしれないと思いながら川の方へ走り出した
…………まぁ、結局は第二の被害者どころか
中島や江戸川と同じ探偵社の一隅である太宰が川を流れていただけだったが






『あ、やっぱり来た』






Aの云っていたことはある意味当たっていた
来ると云うよりかは流れて来たと云う方が正しいと思うが







「そう云えば、なぜ敦君はここに？」






「仕事ですよ」






「仕事？ なんの？」





キョトンとした表情で中島に問う太宰
そして仕事の内容を太宰に云うと、太宰は女性の死を嘆いた
最初の方だけ聞いていればまともな感じかもしれない……が







「____どうせなら私と心中してくれたら良かったのに……！！」






生憎太宰はそんな人間である
こんなことを云うと想像出来るのは恐らく探偵社の同僚である国木田や江戸川、谷崎や与謝野あたりであろう







『あはは、治君なら云うと思ったよ』





自分と心中してくれれば良かったのにと嘆く太宰に対し、
箕浦やその部下は怪訝そうな表情で太宰を見つめる



Aは太宰の反応が面白かったのか、それとも箕浦達の反応が面白かったのか
笑いながら予想通りと云う感じで云った






「……誰だこいつは」






「探偵社の同僚で、まぁ……ああ云う男だ」






「しかし安心したまえご麗人！ 名探偵が必ずや、君の無念を晴らすだろう！

ね、乱歩さん？」







「ところが僕は、未だに依頼を受けてはいないのだ」






「？ どう云う事ですか？」





『箕浦君の部下が優秀だからだってさ。

まぁ……［ある意味］優秀なんじゃない？』






［ある意味］と云う言葉を強調する様にAは云った
だが、Aの視線だけは箕浦の部下の方へと向いていた
まるで犯人が解っているかの様に……

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