情報屋【男主】

情報が一つ ページ3

『……へぇ、［人虎］ねぇ〜。

なかなかに面白そうな情報がこれまた手に入ったものだね。

……しかも僕この子知ってるし。どうしよ、林太郎君にはあんまし云わない様にするべきか……。

あ、でも彼なら直ぐに気付きそうだしなぁ〜……』






僕は［人虎］についての情報や懸賞金について画面いっぱいに、
ズラリと載っているパソコンを眺めながらため息を一つ吐く



しっかしよくやるよねぇ、組合もさ。懸賞金が七十億って……林太郎君とか食いつく気がする
ポートマフィアにとって景気の良さそうな話だしさ





『ああもう、考えてたら色々とめんどくさくなってきた。

ご飯でも買いに行こうかな、近くに店あった気がするし』






僕はそう云いながら出掛ける準備をする
とは云っても財布準備したりするだけだけど





何買おう……あ、ささみとかいいかも
うん、そうしよう




__________
______
____




『…………うん、ささみとかたっくさん買えたのは良いんだけど……。

……この子、どうしよ』





僕が見ているのはつい先程急にバタリと倒れた少年
……しかもこの子人虎って呼ばれてる子だし、僕と面識あるはずの子だしな……




「う……あれ、僕何して____」




『あ、起きた』





「うわぁ！？ あの、貴女は……？」




『いやぁ、僕が普通に買い物帰りに歩いていたら目の前で急に倒れたんだからびっくりしたよ。

どうやらお腹空いてる様だしね、これあげる』





そう云って僕は袋の中から三個程おにぎりを渡す
おお、目がキラキラしてる。可愛いなぁ……




「い、良いんですか！？ このおにぎり、貴女のでは……」




『いいのいいの！ 僕今日たっくさん買ったからさ！ ほら、あげる』




僕がグイグイと無理やりと云ってもいい位に虎君におにぎりを渡す
虎君は渋々と云った感じで受け取ってくれた
ニコニコと虎君を見つめていると、ふとポケットから携帯のブザーが鳴る
着信の名前を見るとそこには［林太郎君］と書かれている
…………あ、今日林太郎君と会う日なの忘れてたや。




『じゃあね虎君、僕はそろそろ行くよ。用事あるから』




「あ……名前とか、教えてもらっても良いですか？」



僕は歩き始めた足をピタッと止め、虎君の方をニコやかに見つめながら云った



『……僕の事は名無しさんって呼んでよ。

いつかまた、君とは会う気がするし。じゃあね、虎君』



君が昔、楽しそうに呼んでいたあだ名なんだけど……虎君は気付いたかな？

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