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ドン、ドンドン!!


『っ、あ、朝ッ!!!!……痛ッ!』


なんだか悪夢を見ていたような気がした。

体が重くて色々なところが痛くて。



「A、Aッ!!!いる!!?!」

あ、柚葉ちゃんの声がする、行かなきゃ。




でも、今あの子と顔を合わせたくない。

『ごめん柚葉ちゃん、風邪引いちゃったみたいで眠ってたんだ。』

だから、扉越しに返事をした。




柚葉「よ、かった〜〜〜っ!!
連絡無しに学校休むしインターフォン鳴らしても返事ないから心配したんだよ……」

扉の向こうで座り込むような音がして、それから適当に返事をした。

柚葉「顔、見れない?」

『うん、ごめん……その、風邪がうつったら嫌だし。』

柚葉「……じゃあ、ちょっと待ってて。
食べれるものある?ゼリーとか、スポーツドリンクとか。」

『大分落ち着いて、食欲はあるよ。』

柚葉「じゃあコンビニで食べるもの買ってくる。
ドアノブの所に袋掛けておくから、具合いい時に取って?」


何回かそれを断ったんだ、本当は風邪なんて引いてないし。
でも柚葉ちゃんは私の断りを耳に入れないままローファーの踵を鳴らして、コンビニへ向かったらしい。

10分か15分ぐらいあとにドアのあたりガサゴソした後、私の名前を呼ぶ柚葉ちゃんの声がしたからそういうことだろう。



『……どうしよう』

ようやく寝起き独特の思考が纏まらないあの感じが抜けて、昨日のことをきちんと考えられる気持ちが整った。

『あれって、ほんとに……?』


朝、というかもう夕方といえるような時間だけれど、起きたら布団にくるまっていた。

それに、服だってきちんと着ていたし、昨日感じていた汗だったり体液のベトベトした感じはどこにもない。


けど、携帯にひとつ増えていた柴大寿と言う名前の連絡先を発見したことで、全部嘘じゃないんだって、そう思わされてしまった。



『ほんとに、どうすればいいんだろう……わたし、もし赤ちゃん?とか、出来ちゃったら………えぇ、?』


それから独り言がなかなかおさまらなかった。

自分には私のことを愛してくれた母親はいなかったから、もし昨日の"アレ"で子どもができてしまっていたらどうすれば良いのかなんて、まだ中学生の私には全く分からない。


それに、お金は?場所は?……父親は?




『しかもわたし、大寿さんのこと名前ぐらいしか知らない……』




そんなことを次から次に考えて絶望にも似た感情に押し潰されそうになったそのとき、不意に玄関の扉をノックする音が聞こえた。

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作者名:HAL | 作成日時:2023年11月15日 23時

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