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大寿「とりあえず、座れ」
『はい』
この家に越してきたばかりだというのは、とりあえず置いたもののまだ開封されていない家具を見て直ぐに分かった。
大寿「まず、お前が以前殺した男について」
あたたかくて幸せな気持ちから、一気にどん底に落とされたような気持ちだった。
そりゃそうだ、私は自分の身を守るとはいえ、人を一人殺しているのだから。
大寿「それについてお前が罪に問われることは無い、全て正当防衛で片付けた」
『へ、』
大寿「お前の母親も売春斡旋で逮捕された。
警察や色々と相談したが、A、お前が望めばもう近付かないようにさせることが出来る」
『そ、れは……ほんとう、ですか』
大寿「あぁ、本当だ。」
フッと優しく笑って、涙が零れそうになる私の目尻をなぞる。
『良かった、よかった……私まだ、大寿さんと一緒にいてもいいんですね』
大寿「だから何か不便があったときは、俺を呼べ。
トラブルが起きる前に解決してやるから」
『うん、ありがとうございます』
大寿「俺に話せないことなら、柚葉にでも構わないからもう一人で抱え込むな。そういう所はきっと、悪いところだ。
荷解きは大変だろうが、いつでも力になろう」
待って、あれ……？
大寿「じゃあ、また。」
『え、まって……なんで、行っちゃうんですか？』
大寿「あぁ、そのつもりだったが」
『やだ、行かないで。私、大寿さんと一緒にいたいです。』
きっと、警察とか私の担当医とか三ツ谷くんとか柚葉ちゃんとか、何か言われているんだろう。
ワガママ言わせて欲しいの、だって、こんなワガママ言えるの、私には貴方しかいないから。
『大寿さんいないと、私夜眠れないかも』
大寿「そりゃ大変だなァ」
『このお家に、一緒に住んで……ください。』
あぁ、もう。世紀の大告白。
大寿「しょうがねえな。」
勇気を振り絞って私の思っていることを伝えれば、彼は笑って応えてくれる。
もしかして、これが本当の愛ってことなんじゃないかな。
『やったぁ、ありがとうございます』
好きとか、大好きだとか。そういう恋愛のようなものじゃない。
私の言いたい愛っていうのは、相手のことを考えたらなんだって頑張れたり、辛いときのあとひと踏ん張りがきくようなそんなものだと思う。
大寿「いい加減敬語使うの止めたらどうだ？」
『……それもそうですね、あ、それもそっか。』
大寿「夜は何食う？」
『何でもいいですか？』
大寿「あぁ」
『じゃあ、お寿司！一度でいいからいくらってやつを食べてみたいです！』
ああ、なんて幸せな日々。
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作者名：HAL | 作成日時：2023年11月15日 23時
