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「はじめは本当に、純粋な一目惚れだった。
色々な表情になるのが愛おしくて、心から愛していた。それは今も変わらない。
ただ、苦痛に歪んだ顔は、どんな表情より一層魅了された。
どんどん気持ちは昂っているのを感じていた。が、これ以上あの華奢な体に俺の欲望を全てぶつけたら、本気で無くなって、壊れてしまうと気付いたんだ。」
初めてオモチャを手にした子どもみたいなことを言っているように感じたが、本人の表情は至って真面目だった。
「だから、これ以上傷つけ過ぎないように物理的に縛り付けた。」
というのも、クリスマスの数日前から柴家の自身の部屋に手錠を付けていたのだそう。
「そしたらアイツは何を聞き付けたのか、自分の手を砕いてまで教会に来て俺と柚葉の間に入った。
そんな姿にも興奮し、もうアイツには近付かないようにしねえといけないと思った。だから突き放した。」
それが、あの言葉だったのだという。
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三ツ谷「とりあえず、俺から話せるのはこんぐらい。
聖さんは今大寿くんと面会禁止だから、伝えておくな」
『ありがとう』
三ツ谷くんが病室を出て1人になれたとき、ボロボロと涙を流していた。
この感情に名前がつくのかどうかも、涙の意味も分からないけれど、確かにそこには嬉しさがほんの少しあった。
愛し方は間違っていたけれど、彼からの愛は本物だったと信じていた。
信じていて、それがようやく報われたような気持ちになれた。
『…………やっぱり私、会いたいよ。』
退院したら、真っ先に会いに行こう。
色んな人のお話で、私は今彼と面会禁止になっているのだとしたら、今ならそれは違うと胸を張って言える。
確かに、行い自体は褒められたものでは無いんだろう。
それは今の状況や、以前三ツ谷くんに柚葉ちゃんたち仲の良い友人から向けられた視線、感情で痛いほど分かっている。
彼からの愛が本物なんだとしたら、私が彼のことを思うこの気持ちだって、きっと本物であるはずだ。
そうじゃなければ、私は一生本当の愛というものを見つけられないだろうから。
『私、やっぱり大寿さんと一度お話がしたいです。』
考えに考えた、それも丸一週間。
私の担当医は頭を抱えていたけれど、粘りに粘って複数の人の目がある所なら、と許可を出してくれた。
そうして、その複数の人というのが毎日病室に足を運んでくれている三ツ谷くんと柚葉ちゃんだった。
今から三日後、その機会が設けられることとなった。
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作者名：HAL | 作成日時：2023年11月15日 23時
