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三ツ谷「柴大寿が手当してくれたって……でも、この怪我作ったのもアイツなんだろ?」

『それは私が、ダメって言われたことしたから……私が悪いの、大寿さんはただ私のダメな所を諌めているだけだよ』

三ツ谷「……ダメな所って、どういう所?」


彼は、とても優しい声で私にそう問いかけた。


『えっとね、あの人と約束したことを、守れないところ、かな。ダメって言われること、忘れてる訳じゃないんだけど』

三ツ谷「うん、聖さんってどんなことをダメって言われてンのかなって思って。オレ、聞きたいな」

『………電車、とかでさ、たまに体触られたりするの。
もちろんわざとじゃないし満員電車とかだと不可抗力って場合もあるけどね。
空いている車両に行けばいいし電車を使わなきゃいいって、大寿さんはそれが気に入らないみたい。

いま三ツ谷くんとこうやって話してるのも、本当は怒られちゃうんだ』

三ツ谷「何で?」

『何で、だろうね。
私も彼を愛してるし、大寿さんも私のこと愛してるって言ってくれるのに、付き合うって上手くいかないんだね』

三ツ谷「聖さん、俺それはおかしいと思う。」


真っ直ぐと、私の瞳の奥を見透かすようにじっと見つめて言った。
彼の言ってるのはもしかして、私と大寿さんの関係とかかな。


『おかしいって、三ツ谷くんは何も知らないじゃない』

三ツ谷「知らなくても今日あんなの見ちゃ俺じゃなくても違和感があると思う。それに、その傷はアイツのせいだって言ったろ?
普通のカップルなら、恋人相手に手はあげねえ。」

『………』

三ツ谷「いつでも助けになるから、頼って」



『ううん、私は大丈夫。
今日お話できて良かったよ、部活もあるし顔合わせることもあるだろうし、またね。
手当してくれてありがとう、お邪魔しました。』


引き止める声に聞こえないふりをして、私は私の帰るべき場所へ向かった。

彼が言っていた通りそこに彼の姿は無く、いつもより広くて冷たいベッドの布団を口元まで被って目をつぶった。



『………』


貴方と一緒に過ごすようになってから、私は何も気にせずに眠りにつくことが出来るようになったの。


痛い気持ちとか、怖い思いとか、たくさんするけれど、それでも私は貴方のことをこの世界で一番愛していると誓っていられる。





『私にもっと、愛をくれたらいいのに』


眠りにつく直前、ふと大寿さんと三ツ谷くんの話していた"また近いうちに会うだろう"と言っていたことを思い出していた。


そんな、十二月上旬のこと。

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作者名:HAL | 作成日時:2023年11月15日 23時

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