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「おい、起きろ」


頬を優しく叩かれたことで混濁していた意識がハッキリとする。

まただ、こんなこと、昔にもあったよね。何でなの。


『なん、で』

『わたし、貴方を裏切ったりなんかしてないのに……』

『頭、ガンガンしてきた、かもしれない』



「まだンなこと言ってるのか?」


涙が出ない。代わりに喉が、というか身体が干からびるような感じがした。今私が今寝転がっているシーツがかなり水気を含んでいるからきっとそういう事だろう。


両手で軽々と私の腰を掴み自分の脚の間に身体を挟んだ。
もう慣れたような手付きで、まだ萎えないソレを腹の中へ入れ、奥へ進まんとこじ開けてくる。

この感覚が痛みなのか快感なのか、もう分からなくて、力も入らなくて下腹部だけ上げるようにしてぐったりとしていた。


「あの男は誰だよ、なァ」


さっきまでのガツガツした獣のように求めるような動きでなく、今度はゆっくりゆっくり、じわじわと快感を高めていく意地悪な動きになった。


『三ツ谷、くんはッ……ただの友達です、っ』

「ただの友達だ?」

『部活が…一緒なの……あたしも、三ツ谷くんも、部長だからっ』

「だからそれを言い訳に家に入り浸ってる訳か」

『ちが、そんなことは何もないのに、ねぇ聞いて!』

「何が違ぇ?俺が知らねえと思ったのか?ア?」

『やましいことなんて、なんもないの、ホントだってば!!!』


どうしても、どうしても分かってくれない。


『じゃあもう、私じゃなくて三ツ谷くんに聞けばいいじゃないですか!!!』

「お前がさっき認めたんだろ?」

『そうでもしないとっ、死んじゃう……』

と、思ったから。



そう言いながら力を振り絞って彼の方へ振り返ろうとした。

「生意気だ。おまえは何も分かってない。」

『や、やめでッ……いき、く、るしぃ』

後ろから首に手を回されて、ギリギリと締め上げてくる。

「身体は正直だなァ、どんどん締め付けてくるぞ」

『が、ッ……』


本当に、死ぬ。

それだけが頭に浮かんだ。


『っ、は…はァっ、………!』


ダメだ、もう終わりだ。そう思った時彼は首を掴む力を緩めた。
目はチカチカして一気に訳の分からない刺激に耐えられず、身体が痙攣しているのを感じた。


「……….」

『も、ぉ……やです、愛してるって、言ってくれたのに』

「すまない。けれど分かってくれ、これも愛してるからなんだ。
お前が疑わしいことをするから、心配になった。他の男の前で楽しそうに振る舞うのが、それで他の奴がお前に惚れるのが、憎くて堪らないんだ」


さっきとは打って変わってハッとした顔の彼に謝られたのを最後に、今度こそ意識を飛ばした。

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作者名:HAL | 作成日時:2023年11月15日 23時

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