愛してるってなんですか【東リべ】 (ページ27)

今日:60 hit、昨日:48 hit、合計:44,038 hit

26 ページ27

『スッキリ、しちゃった』

ホテルのようなシャワールームから出ると、袋に入ったままの新品の下着と大きめのシャツがひとつ置かれていた。

一気に眠気が襲ってきて、考えることも疲れた私は迷うことなくそれを着た。

お礼を言うために大寿さんや九井さんを探してみても、人の姿がなくてなんだか恐怖が込み上げてきた。

どうやらここはブラックドラゴンというチームが所有するビルらしい。詳しくは分からないけれど、そんな話をしてた気がする。

柚葉ちゃんからなんとなく聞いたほとんど帰ってこない兄貴の、ほとんど帰ってこない、と言う部分になんとなく納得がいった。

ホテルかと思うほどに設備は充実しているようだった。

ベッドがあったり、シャワールームやお手洗いが部屋やフロアに完備されている。

シャワールームを出た部屋は、誰かの部屋のようだった。
インテリアがいくつかあったり大きなベッドが設置してある。

私はその部屋にあった大きなソファの上に体育座りをして、ウトウトしていた。

「お？」

うたた寝してたことに気がついたのは、誰かの声が聞こえたせいだった。
そちらへ視線を移せば、綺麗な顔立ちの人がいた。

カツ、カツ、という規則正しい音はその人の履いていた靴から鳴っていたらしい。

『……？』

「お前が聖か」

『そうです……聖Aっていいます。』

「そうか。」

『お名前、聞いても良いですか？』

「乾、乾青宗だ。」

『ブラックドラゴン、って人ですよね。』

「ちげぇ、黒龍はチームの名前だ。」

『あ、ごめんなさい……』

どこか壁を感じながらも、何往復も会話は続いていた。

彼には黒龍のことや柴大寿のことを教えて貰ったのに、半分眠った頭で聞いていたせいで八割ぐらいは頭から抜けていた。

乾「大寿から連絡だ、お前はこのままここで待ってろ。
もうすぐ用事終わって帰ってくるらしい。」

『は、はい…』

乾「何やったんだ？」

『……言わなきゃダメですか』

乾「別に、興味無いし」

じゃあどうして聞いてきたのかと心の中でツッコミを入れてから、また大寿さんと知り合った経緯を軽く説明した。

そんな話が終わりかけたとき、ちょうど良いタイミングで大寿が戻ってきた。

乾「どこ行ってたんだよ大寿、こいつ1人で何すりゃいいか分かんねえって顔してたぞ。」

大寿「あぁ、コイツの尻拭いにちょっとな。」

『……』

やっぱりその話になるとフラッシュバックしてくるせいで顔を上げることは出来なかった。

『あ、ありがとうございます、大寿さん。』

満足そうな表情をした彼に呆れて部屋から乾くんが出ていった事で、この部屋に二人きりとなった。