愛してるってなんですか【東リべ】 (ページ21)

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空腹に気付かないふりをして、まだ眠たくないだろうと体に言い聞かせて家路を辿った朝4時過ぎ。

この時期にしてはあたたかい日だったと思う。

ｶﾞﾁｬ

いつもだったら気付くであろうその違和感にも気が付かなくて、家の扉を開けてスグ、閉めた。

まだ、ダメだったから。

『…………』

けれど、もうどうすることも出来なくて、そろそろ私自身の眠気も限界だったせいでアパートの階段に座り込み気付けば眠りについていた。

目を覚ましたのは肩を揺すられて、目の前には酷く驚いた顔をした友人の姿があった。

「何してんの、こんな所でっ！！！」

『ぼーっとしてて、その、気づいたら寝ちゃってたの』

「最近のA、やっぱり変だよ。」

『えぇ？そうかな？』

「なぁ、やっぱりアタシじゃ頼りになんないの？」

『なんの事か分からないし、柚葉ちゃんが居てくれたから今日私は遅刻しなくて済んだんだよ？ありがとね』

彼女の心配に気が付かない振りをして、今朝の自分の行動なんてまるで忘れて授業を受けた。

途中、お昼ご飯前の体育の授業で倒れそうになって柚葉ちゃんに保健室まで連れていかれたんだっけ。

「あー、貧血ね。朝ごはん食べた？」

『今日ちょっと、忘れちゃって…』

「朝ごはんはね、バカにしちゃあいけないの。
いい？明日からちゃんと食べなさいよ。」

保健の先生からは叱られて。

私が食べたくなくてそうしてる訳じゃないのに、でもそれをこの人に言うことは出来ないからそっと頷いたんだ。

結局昼休みまでベッドを使って休ませて貰ったから、起きたときには眠気と疲れはどこかへ消えていた。

『今日は被服制作の追い込みだなぁ、頑張ろ……！』

先ほどぐっすり眠ったせいか午後の座学はウトウトしながらこなして、放課後は部活に明け暮れる。といっても、今作ってるこれを最後に今年のコンクールは終わる。

「あら、いい感じなんじゃない？もうそろそろ完成が見えてきそうね！」

『……はい！けどまだ、何か足りないような気がするので、今日はこれ以上縫うのやめときます。』

「そう？珍しいこともあるのね。分かったわ！」

やることも終わらせてからいつもより早く家に帰った。
ここでも"珍しく"家には誰もいなかった。

『……冷蔵庫、昨日の残りある。良かったぁ、もう腹ぺこ。』

昼ごはんは学校で食べたけれど中々そう腹が膨れることもなかった。なんせ、昨日の晩から菓子パンひとつだった訳だし。

『育ち盛り舐めちゃダメだね。』

ご飯を腹一杯になるまで食べ、食器を片付けたあとは何も考えず倒れるように布団に包まれて眠りについた。