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母親が私の家に棲みついた。


世間一般からしたらそれは全然不思議なことではない。
しかも当の私はまだ14歳、中学二年生。

『あの、ごはん食べたいからテーブル開けて欲しい.....です。』

「あとちょっとしたら出てくからもう少し待ってくれるー?」

男を連れ込まないだけマシだった、そう思ってしまうような。


嫌いだった勉強も、家に帰りたくないという理由でずっと居残りしながら勉強していたせいで得意になった。

部活のある日は被服室にこもりきり、最終下校時刻まで缶詰になったあとは適当にブラブラ寄り道をしながら帰る。


この頃には、柚葉ちゃんの兄のことなんてとっくに忘れていた。
そう、そうやって思い出しときにまたソレは戻ってくるんだった。


何やら騒がしいウチの近く、街灯があるけどそれではまだ明かりの足りないウチの前の道。

ザワザワした声が聞こえる、この時間にはあまり合わないようなうるささと治安の悪さというか、なんというんだろう。

『わっ、ごめんなさい...』

なるべく避けたいから、と視線を下にして歩いていると人にぶつかってしまった。

ここでようやく、この人たちが全員同じグループの人間だと言うことに気がつく。


「あ?」
「何だ、女か?」


『ひ、ッ.....すみませんでした、帰ります.......』

と言っても、私の部屋に変えるには白い服を着た人たちの間を縫っていかないといけないみたい。


「〜〜〜〜!!!」
「〜〜〜!?」

男性の言い争うような叫び声にも近い声が聞こえた。

最悪なことに、それは私の部屋の前で繰り広げられている。しかも詰められている男性の方には見覚えがある。


確か、母親を探して私に迫ってきた人だ。

『.....』


見なかった振りをして、今すぐ柚葉ちゃんのところでも三ツ谷くんの所にでも行きたい。ここから離れたい。


でも、足が動かない。


ガッ、と音がしそうな勢いで肩を組まれ、反対側にはこれまた厳つい見た目の人が立った。


「ボス、コイツがその?」

「あ、ぁ.....!お前!!やっぱ母親のこと匿ってるんじゃねえかよ!!!!」

『い、や.....っ』


こちらへ1歩ずつ近付いて、私に掴みかかりそうになったところを火傷跡のある厳つい男の人が守ってくれた。

けどわかってる。私を守ったわけじゃないこと。


『どういう、ことでしょうか.....大寿さん、』

大寿「お前をこれ以上巻き込みたく無かったんだが、母親匿ってんのは本当か?」

『匿っている訳じゃないです。そもそもあの人は母なんかじゃないし。』


大寿「だが今、いるんだろ?」

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作者名:HAL | 作成日時:2023年11月15日 23時

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